研究課題/領域番号 |
17K12568
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
井本 敦子 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 戦略職員 (80745498)
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研究分担者 |
青山 温子 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40184056) [辞退]
松山 章子 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (70404233) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 子宮頸がん / 子宮頸がん検診 / HPV / 受診率 / 知識 / 認識 |
研究実績の概要 |
今年度は、マニラ貧困地域に住む女性250人に、HPV・子宮頸がん・検診に関わる知識や病気への罹患性・重大性の認識、検診受診歴等について質問紙調査を行った。その結果、参加者のほぼ全員が検査の名前を聞いたことがあったが、病気に関する具体的な知識レベルは低かった。病気への罹患性・重大性は認識していた。また、多くの参加者が検診を提供しているヘルスセンターの近隣に住んでいたが、検診率は27.6%と低かった。多変量解析の結果、年齢が40歳以上、既婚(別居、離別除く)、避妊具の利用が受診行動に関連していた。病気に関する知識および認識については、受診行動と関連がみられなかった。 未受診の主な理由に検査に伴う痛みや不快感、困惑があり、受診の主な理由に医療従事者による助言・要望があった。質問紙調査に加え、住民女性および保健省ヘルスセンターのスタッフ32名に質的インタビュー調査を行ったところ、乳がんに関しては住民の間でもよく知られているが、子宮頸がんについてはまだ充分に認識されておらず、病気に関する情報や知識が少ないという回答があった。また、「がん」という言葉に「死」や「致命的」といったイメージを持つため、子宮頸がんは重篤な病気であるという認識を有していた。 以上から都市部マニラ貧困地域に住む住民女性の検診率は低く、子宮頸がんに関する情報や知識提供の必要性が示唆された。特に検査に伴う痛みに対する怖れや不安を軽減するために、検査手順の充分な説明とともに安心して検査が受けられる環境の整備が求められる。 本結果はフィリピン共和国保健省の報告会にて発表し、今後の対策について協議した。また、29年度に実施した地方部の調査結果をまとめ、学会発表を行い論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、当初の計画になかった地方部の住民女性を対象に調査を行い、今年度は当初の計画通り、都市部において調査を終えることができた。現地の研究者や協力機関であるマニラ保健局の協力を得て、順調にデータを収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、都市部マニラ市の貧困地域の調査結果を論文にまとめる。また、昨年度実施した地方部マスバテ州の調査結果と都市部の結果を比較し分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、予定通り現地でのデータ収集を終えたが、主に旅費およびデータ収集、現地での結果報告会の実施等に関わる経費において当初の予定より支出を抑えることができた。一方でデータの整理・分析、論文作成・投稿に遅れが生じ、次年度に見送ることとなった。このため、次年度では、実施予定だったこれらデータ分析、論文作成・投稿、学会発表を行う目的で使用予定である。
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