研究課題/領域番号 |
17K12569
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 助教 (10253957)
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研究分担者 |
砂川 洋子 琉球大学, 医学部, 教授 (00196908)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん教育 / 小学生 |
研究実績の概要 |
1.第22回日本緩和医療学会学術大会のシンポジウムを通して、帝京大学医学部附属病院にて展開されている呼び込み型がん教育、鹿児島県のがん患者団体が展開している「いのちの授業」、埼玉県の高等学校で、教諭が実施したがん教育の実際について情報収集を行った。また、福岡県教育委員会主催のがん教育指導者研修会に参加し、がん教育モデル事業の成果報告より有意義な情報を得ることができた。これらの情報収集から、児童生徒を対象としたがん教育においては、各発達段階に応じて、がんを正しく理解するとともに、“命の大切さ”について主体的に考える機会を与えることに主眼を置いた教育が展開されていた。 2.かごしまがんサポートによる「いのちの授業」の視察を行った。授業では、がんサバイバーの体験をもとに、がんについての正しい理解を導くとともに、旅立ったがん患者のメッセージを通して、緩和ケアに関する内容も含め伝えていた。命の大切さを伝えるとともにがん患者に対する理解の深まりもねらいとした授業であった。 3.沖縄県内の小学校160校、中学校+高等学校70校(生徒数300名以上)の養護教諭、教諭を対象に呼びかけ、がん教育に関する講演会(講師:林 和彦先生)を開催し、14名参加があった(参加率6%)。参加者のアンケートより、がん教育を具体的に計画している学校はなかったが、今後、県教育庁が主導して、外部講師によるがん教育について検討しているとのことであった。参加者より、「がん教育の必要性が理解できた」との意見があった。参加者が少なかったことから、今後、さらにがん教育に関する啓発の機会の必要性が示唆された。 4.沖縄県教育庁が実施した平成29年度「がん教育実施状況調査」の結果、小学校24%、中学校44%、高等学校59%で、小学校の実施率が最も低かった。今後、小学校においてもがん教育を進めていく必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、沖縄県内の小学校の養護教諭、教諭を対象としたがん教育に関する実施状況調査を行う予定であったが、近隣の小学校の養護教諭へ尋ねたところ、実施している学校は少ないとの情報が得られたことから、調査の前に、先駆的な取り組みについて情報を得たいと考え、今年度は情報収集を積極的に行い、先駆的に、がん教育に取り組んでいる講師を招へいし、養護教諭や教諭を対象としたがん教育に関する普及啓発を行うことを計画し、実施した。しかしながら、参加率が好ましくなかったので、今年度も実施し、さらに呼びかけていきたいと考える。沖縄県内のがん教育の実施状況については、沖縄県教育庁より情報を得ることができた。その結果、小学校の実施率は24%と低く、実施しなかった理由として、「がん教育以外の健康教育を優先し、必要でないと思った」「指導者や指導時間の確保が困難であった」との回答が多かったことから、今後も養護教諭や教諭を対象とした講演会を実施し、がん教育の必要性について啓発するとともに、がん教育の実施を促進できるような工夫をともに考える機会を持ちたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、沖縄市内の小学校の養護教諭、がん教育実施経験のある医師の協力を得て、出前授業を活用して、6年生142名を対象としたがん教育を実施することを計画している。授業には、保護者にも呼びかけて、親子で同じ授業を受ける機会を設けたいと計画中である。授業の前後には、子供達へのアンケートを実施し、がん教育前後の意識の変化について評価を行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、当初の計画では、沖縄県内の小学校の教諭、養護教諭などを対象とした「がん教育に関する実態調査」を行う予定であったが、実質的にがん教育を行っている学校が少ないという状況から、調査を実施しなかったため、その分、予定していた調査票印刷費、通信費、研究補助員の雇上げ等の支出がなく、次年度へ持ち越しとなった。
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