死別は誰もが体験するライフイベントである。我が国では年間10万人の子どもが様々な死因により保護者を亡くし、その1割が自死遺児である。死別は誰もが体験するライフイベントであり、遺族支援は、コミュニティでの支援を充実させていくことが最も重要であり、特に遺児支援においては、多くの時間を過ごす学校での支援を充実させる必要がある。しかし、遺児支援はほとんど実施されていい。コミュニティにおける遺児への理解は乏しく、学校での遺児の傷つき体験や小中学校教員の遺児に対するイメージを勘案すると、遺児の理解は不十分であり、遺児にとって学校は安心して自身の反応や感情を表現できる安全な環境ではな い。 よって、本研究は、①学校での遺児の心理的ストレスや傷つき体験を明らかにするとともに、②児童生徒と小中学校教員を対象に、遺児の心理的特性と支援の理解度を調査する。さらには①②の結果から、学校での遺児の心理的特性と支援の理解度を高めるための介入ツールを開発し、その有効性を検証することを目的とした。 ①については、研究の実施にはいたっていないが、教育・支援関係者との相談・調整等の中で、遺児の理解や対応の難しさなどが自身の様々なストレスや体験(語り)に関する情報が得られている。また、遺児の理解と支援の必要性を普及・啓発するためのツールを作成し、教育機関に配布した。②については昨年度と同様に教育機関での遺児支援、ならびに研究概要等の説明の調整をしているが、今年度も新型コロナウイルス感染症の影響により実施できていない。
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