研究課題/領域番号 |
17K12576
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
古田 加代子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (00319253)
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研究分担者 |
流石 ゆり子 山梨県立大学, 看護学部, 副学長 (70279892)
輿水 めぐみ 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90405225)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 転居高齢者 / 生活適応 / ソーシャルキャピタル / 介護予防 |
研究実績の概要 |
本研究は転居高齢者の健康状態や生活適応を数年にわたって追跡し、その要因を明らかにすることを目的としている。今年度は以下の研究を進めた。
目的:転居から1年以内の高齢者のソーシャル・キャピタル(以下SC)と関連要因を明らかにする。 方法:1.対象:市町村の境界を越えてA県B市に転入した高齢者186名。2.調査方法:B市の介護保険所管課の協力を得て対象者を抽出し、質問紙調査票を郵送した。1週間ほど留め置き、調査員が訪問で回収した。調査内容は転居前の準備状況、SC、基本的属性等であった。 結果:対象者のうち回収数は139名(74.7%)、有効回答数は131名(全体の70.4%)であった。性別は男性55名、女性は76名であり、平均年齢は男性76.1±8.6歳、女性78.4±7.7歳であった。転入前後の心身および生活の状況、転入前の準備状況と認知的・構造的SCの計5項目の関連を検討した。転入前に地域・隣近所との交流や外出先を含めて生活の予測がついていた者は、転入後に地域への愛着が高く(p<0.01)、近所の人とよく話をしていた(p<0.05)。また転入先の公共施設などの環境について知っていた者や転入を自ら望んでいた者、転入後の住宅が希望どおりであったと回答した者は、同様に地域への愛着が高かった(共にp<0.01)。子供との同居や近居を目的に転居した者は、それ以外の者に比べ地域の人の助け合う気持ちや高齢者への優しさがないと回答する者が多かった(共にp<0.05)。さらに転入時に後期高齢者に達していた者は、近所には助け合う気持ちがあると感じていた(p<0.05)。 結論:転居高齢者のSCには、転入前に地域における交流や外出を含め生活の予測ができたことや周囲の環境を知っている等の準備性が関連していた。転居後のSCを高めるためにも、転居準備に時間をかけ生活設計のある転居が望まれることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市町村の協力を得て、転居から1年6か月後の追跡調査を終え、必要なデータを収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進捗しているため、最終年度の2020年度は成果の公表のためにデータの分析、論文作成を進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に収集したデータを分析し、研究協力をしていただいた市町村と検討会を開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった。また転居高齢者への支援を検討するため、既に事業化をしている千葉県内の市町村に訪問し、意見交換をする予定であったが、それについても実施できなかった。次年度に会議や意見交換会を開催する予定である。
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