研究課題/領域番号 |
17K12576
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
古田 加代子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (00319253)
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研究分担者 |
流石 ゆり子 山梨県立大学, 看護学部, 名誉教授 (70279892)
輿水 めぐみ 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90405225)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 転居高齢者 / 生活適応 / 社会的孤立 |
研究実績の概要 |
目的:転居高齢者の転入時と1年6か月後の生活適応状況の変化とその要因について明らかにすることを目的とした。 方法:1.対象:A市に平成29年9月から1年間に市町村の境界を越えて転入した日本国籍の高齢者193名。2.調査方法:A市の協力を得て、月毎に転入した対象者宛の自記式質問紙調査票を郵送した。1週間程留め置いた後、調査員が訪問で回収した。また転入から1年6か月が経過した翌月に同様に調査を行った。 結果:1.調査の概要:対象者のうち、転入時に住所地特例施設に入所した13名を除外し、180名を転入時調査対象者とした。今回は両調査について調査票の回収ができた92名を分析した。2.対象者の概要:転入時の平均年齢(±SD)は74.4(±8.4)歳、男性39名(42.4%)、女性53名(57.6%)であった。県内から転入した者が約8割であった。3.生活適応状況:転入直後に「慣れている」と回答した者(以後「適応群」とする)は65名(70.6%)で、1年6か月後には81名(88.0%)に増加していた。また1年6か月経過しても「慣れていない」と回答した者(以後「不適応群」とする)が計11名(12.0%)いた。4.1年6か月後の生活適応状況とその要因:1年6か月後の適応状況について転入直後の心身の状態と日常生活状況をもとに検討した。不適応群は転入直後に生活に満足していない者、家族との会話を毎日行っていない者に有意に多かった。さらにソーシャルキャピタルとして、気軽にあいさつを交わし合う地区ということを感じられる者が有意に少なかった(p<0.01)。転入直後の介護予防リスク、精神的健康状態、日常生活の実行状況、転入自治体での知り合いの数による差は見られなかった。家族や地域の中で孤立している者が不適応につながりやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大への対応などに時間が割かれ、研究分担者と対面で分析、ディスカッションする時間が確保できず分析作業が遅滞し、結果の公表がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に新たに「自治体における転入高齢者の支援の実際」に関する調査研究に取り組んだ。令和4年度はこの結果も含めて、結果の分析と学会発表、論文作成に夏季休業期間などを集中的に活用し、取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の公表が遅れているために残額が生じている。また出張を伴う対面の会議が行えていないことも理由の一つである。令和4年度は学会発表のための旅費、参加費および論文投稿費用として使用予定である。
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