若年期の男性同性愛者のセクシュアルヘルスに関する支援ニーズと学校保健職種が性的少数者へ提供する支援の実態と課題を明らかにすべく研究を実施した。
A県における養護教諭をはじめとする学校保健職種への調査から、養成機関を卒業後に性の多様性や性的少数者の対応に関する研修を受けた経験があるものほうが、性の多様性に関する教育提供への積極性が高く、相談を受けた際に対応する困難感が有意に低かった。出身養成教育機関での性の多様性や性的少数者の対応に関する研修を受けた経験と性の多様性に関する教育への積極度や相談対応の困難感との関連は見られなかった。現任の学校保健職種に定期的に研修機会を提供する有用性が示された。養護教諭からも性の多様性に関する知識のアップデートの機会が欲しい、性的少数者からの相談の対応の方法を学びたいニーズがあげられており、そのことを鑑みても研修を行っていくことは有用と考えられた。
また当事者を対象とする調査から、セクシュアルヘルスに関する情報はインターネット等からの入手が若年層では圧倒的に多いことが示され、またセクシュアルヘルスに関して、自分に何か困りごとや心配事があった際の相談先としても、男性同性愛者の友達を挙げているものが多かった。一方で学校保健職種、スクールカウンセラーなどをあげたものは限られており、10%未満であった。これらの職種が相談先となりうることを示すこと、また当事者のネットワークやグループの存在はセクシュアルヘルスの支援でも重要な役割を果たすため、これらのネットワークやグループを紹介できる方法を考案することも重要であると考えられた。
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