研究課題/領域番号 |
17K12578
|
研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
都筑 千景 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00364034)
|
研究分担者 |
桝本 妙子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (50290218)
加藤 憲司 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (70458404)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 母子保健 / 養育肯定感 / 月経周期 / 不適切な養育 / 子育て支援 / QOL / SOC |
研究実績の概要 |
平成25~28 年度(基盤C)の研究課題を継続し、女性の多くに潜在する月経周期に関する心身の症状に着目し、育児期女性におけるQOL、養育行動との関連についての前向きコホート研究を継続して実施している。 計画の2年目である今年度は、前年度から開始した縦断調査の3時点目にあたり、子どもが3歳になった育児期女性への調査を実施した。 A市の1、2時点の調査回答があった143名に調査票を郵送し、107名から調査票の回収を得た(回収率74.8%)。母親の年齢34.8±5.3歳、子の数は1.42±0.5人で、43人(30.1%)が第2子を出産していた。PMDD疑いのある人は4名(0.03%)、不適切な養育行動については、18か月時より比較的軽微な養育行動である10項目で有意に増加し、減少したのは3項目であった。18か月時点より有意に増加していた項目は全体のQOLの平均値、有意に減少した項目はQOLの身体的領域、SOC得点、養育肯定感総得点であった。不適切な養育行動の増加や、身体的領域QOL,SOC,養育肯定感の減少は、子どもの成長によりしつけの必要性が増したこと、また子どもの行動範囲が広がったことで、叱責や行動に対する制止の機会が増えたことが一因と考えられる。一方、減少した養育行動は頭や顔をたたく、おもちゃを捨てるなどであり、これらは比較的重い不適切な行動と解釈できる。3歳児では言葉でのやり取りがほぼ可能となり、子どもが自分の気持ちや子どもなりの理由を伝えたり、親の言葉が理解できるようになるなど、親子のコミュニケーションが円滑になってくる時期であり、親がこれらの行動をとることの必要性が下がることがあるのではと推察された。しかし、母親のQOL平均値は有意に上昇していることは興味深く、不適切な養育行動に悩みながらも、子どもとのコミュニケーションが母親のQOLを向上させているとも考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
縦断研究は予定通り推移しており、育児期女性の経時的QOL評価は順調に進んでいる。もう一つの課題である様々な子育て支援を受けている育児期女性と一般女性との比較についてはまだ計画段階であり、今年度中に候補地の決定及び実施に向けて準備をしていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
縦断研究においては、今年8月から5歳時時点の調査を開始する予定しており、予定通り実施に向けて準備を進めていく。 様々な子育て支援を受けている育児期女性の調査については、主任研究者の異動がありやや遅れているが、調査候補地について新たに情報収集と調整を行い、実施していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
もう一つの研究課題である様々な子育て支援サービスを受けている育児期女性と一般育児期女性との比較に関する調査が主任研究者の異動により遅れたため、調査実施にかかる費用を繰り越した。
|