研究課題/領域番号 |
17K12578
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
都筑 千景 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (00364034)
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研究分担者 |
桝本 妙子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (50290218)
加藤 憲司 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (70458404)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 母子保健 / 不適切な養育行動 / 子育て支援 / 虐待予防 / 縦断研究 / 育児期女性 / QOL / SOC |
研究実績の概要 |
平成25~28年度の研究課題を継続し、育児期女性におけるQOL、不適切な養育行動との関連について、4か月児時点から調査に同意を得られた母親239名について5歳までの縦断研究を実施し、昨年度末に終了した。 母親239名を対象とし、4時点すべてに回答のあった81名を分析対象とした(回収率33.9%)。母親の児が4か月時点の年齢は平均32.9歳であった。4か月時点(第1回)、1歳6か月時点(第2回)、3歳時点(第3回)、5歳時点(第4回)の4時点の不適切な養育項目11項目についての推移を見た。その結果、ほぼすべての項目において子どもの年齢が大きくなるにつれて不適切養育行動の頻度は上昇し、特に1歳6か月時点から3歳時点までは大きく上昇、3歳から5歳においては上昇の幅は小さく、横ばいまたは低下した。項目ごとに見ると、「ほめるより叱ることが多い」「大声で叱る」「感情的に八つ当たりすることがある」「子どもが傷つくようなことをいう」は、ほかの項目と比較して頻度が多い傾向にあった。「手や頭をたたく」は4か月から1歳か月児までの上昇が一番大きく、1歳6か月から3歳、3歳から5歳の順に上昇は緩やかになった。「子どもが泣くまで怒ることがやめられないことがある」は、3歳までは上昇したが、3歳から5歳では大きく低下した。 幼児期は自我の芽生えや行動範囲が広がり、制止や禁止が多くなって「言うことをきかない」ことが増えるため不適切養育行動得点が上昇したと考えられる。しかし、5歳になるとものの道理がややわかるようになり、言葉での説明が可能になるため上昇幅が減少したと推察される。 今後、詳細な分析を進め、子どもの年齢ごとの育児期女性のQOLやSOCを明らかにし、不適切な養育行動や月経月経前気分不快障害(PMDD)との関連を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度からのコロナ感染症拡大が継続しており、自治体の保健業務のひっ迫が継続していること、ソーシャルディスタンスの必要性から利用者へのアクセスも厳しくなったことから、自治体への調査は昨年に続き断念した。また、同様の理由で本務の教育業務の変更や中止を余儀なくされ、その都度対応にあたる必要があったため、研究に関わる時間が大幅に減少した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度もコロナ感染症の収束の見込みは薄いと思われるため、予定していた自治体調査は実施可能性を検討しつつ、可能な自治体があれば進めて行きたい。また、4時点の縦断研究を詳細に分析し、知見をまとめ、育児期女性の支援に活用できる月経に着目した保健指導のためのツール開発を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査ができなかったため、残額は調査及びツール開発に使用する予定である。
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