研究課題/領域番号 |
17K12578
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
都筑 千景 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (00364034)
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研究分担者 |
桝本 妙子 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (50290218) [辞退]
加藤 憲司 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (70458404) [辞退]
森本 明子 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (90710377)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 虐待予防 / 不適切な養育行動 / 子育て支援 / 縦断研究 / 育児期女性 / QOL / SOC |
研究実績の概要 |
平成29年度から、第1子の児が4か月の育児期女性を対象に調査を実施し、同意を得られた239名について4か月、1.6歳、3歳、5歳の4時点の育児期女性の養育行動や心理面において縦断調査を令和2年度末まで実施した。4時点すべてに回答のあった81名の時点ごとの変化をウイルコクソン符号付順位検定で見た。 平均年齢は37.75歳、4か月では仕事あり4.9%、5歳46.9%、居住期間5年以上 19.8%、66.6%、近所づきあいあり24.7%、55.5%、ママのグループ参加あり6.2%、27.2%であった。 WHO/QOLで有意差が見られたのは、1歳6か月と3歳、3歳と5歳では身体的領域平均値が高い傾向、4か月と5歳では環境領域平均値が有意に高かった。4か月と5歳の比較において、養育肯定感、家庭内情緒サポート、家庭内手段サポート、家庭外情緒サポートが有意に低下していた。 環境領域QOLが上昇傾向を示したのは、子どもが成長するとともに仕事を持つ女性が増え、居住期間が長くなって地域での付き合いやグループ参加が増えており、育児を取り巻く環境が醸成されてきたと育児期女性自身が感じていると推察された。 また、身体的領域QOLが1.6歳から5歳にかけ高い傾向を示したのは、抱っこ等の移動の世話、夜泣き等による授乳がなくなることで身体的負担が減ったことによると考えられた。一方で、4か月と比較して5歳での養育肯定感、家族内情緒的・手段的サポート、家族外情緒的サポートが有意に低下していることから、幼児期後半の子どもを持つ育児期女性が家族内外から十分なサポートが受けられていないと感じている可能性がある。前年度までの調査結果から、子どもが大きくなると不適切な養育行動が増えてくることから、3歳児健診以後の幼児期においても、育児期女性へのサポートを充実させていく必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度からのコロナ感染症拡大の継続により、調査依頼先である自治体の業務がひっ迫したこと、ソーシャルディスタンスの必要性から利用者へのアクセスが難しくなったことが現在までも継続しており、調査を断念せざるを得なかった。また、同様の理由で本務でも種々の変更や中止を余儀なくされたことで、研究に関わる時間が大幅に減少した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症は落ち着き、5類感染症に移行する見込みであるが、自治体の状況はすぐに改善する 見込みは薄いため、調査は中止とした。本年度は最終年度のため、現在までに得られたデータを詳細に分析し知見をまとめ発表すること、育児期女性の支援に活用できる月経周期に着目した保健指導のための資材開発を進めることを目標としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた計画、調査ができなかったため、残額は今年度の分析や資材などのツール開発に使用する予定である。
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