研究課題/領域番号 |
17K12583
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
池添 志乃 高知県立大学, 看護学部, 教授 (20347652)
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研究分担者 |
中野 綾美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (90172361)
時長 美希 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00163965)
嶋岡 暢希 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (90305813)
高谷 恭子 高知県立大学, 看護学部, 講師 (40508587)
川本 美香 高知県立大学, 看護学部, 助教 (10633703)
畠中 雄平 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (60649846)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 就学期の移行 / 発達障害のある子どもと家族 / 看護ケアモデル |
研究実績の概要 |
発達障害のある子どもと家族の意向を尊重したより実践での有用性の高い看護ケアガイドラインの作成を目指して、平成30年度は発達障害のある子どもと家族の就学期の移行における体験、移行の特性を明らかにすることを目標に自閉症のある子どもとともに生活している家族に対して面接を行った。 親は学校や学童などで、いじめられずに安全に、 安心して過ごせるようになってほしいとのニーズを抱いていた。子どもの特性がゆえにクラスに馴染めないことやいじめの対象になることへの困難を抱き、学校や学童でのいじめやからかいにどのように対応していったらよいか、不器用さをどのように克服していったらよいか、本人への告知はどうすべきかといった思いも抱いていた。 困難な状況の中で、学校等への支援に対して、どう頑張ればできるようになるのか、うまくいくのか本人や親への助言や巡回相談やスクールカウンセラー、社会福祉協議会等の専門性を活かした適宜のアドバイスが支えとなっていた。同じ体験をもつファミリーサポートの関わりも親にとって子育ての力になっていた。また、「何も悪くない」という子どもの見方で関わってくれたことは、これまでわが子がトラブルの火種のように言われてきた悔しさから救われ、子どもと親にとっての発達障害に対する思いの大きな転機となっていた。特に中学校から高校、大学と就学期の移行における学校・医療者の支援として、得意分野で皆から一目置かれるように仕向けてくれた教員の関わりが良かったとの語りがあった。子どもにとっても「自分はへんじゃない」と自らの特性を自分の個性として捉えることができるようになり、特技が自らの自信となって周りの友人たちとのつながりも生まれていっていた。「ここまでくれば障害は武器」と語り、スペシャルな才能を認めて伸ばしてくれる専門職の関わりが発達障害のある子どもと家族の支援において重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標は、発達障害のある子どもと家族の就学期の移行を支える看護ケア行動(援助関係の形成方法、アセスメント、介入の意図、介入方法)及び求められる支援を明らかにし、発達障害のある子どもと家族の就学期の移行を支える看護ケアモデル(案)を提案する予定であった。しかしより実践の中での適用可能性、有用なガイドラインを作成していくためには、調査や対象者の幅を広げ、発達障害のある子どもと家族の就学期の移行における体験、移行の特性を明らかにするとともに、子どもと家族への看護ケア行動(家族の特性、支援の意図、介入方法)を明らかにしていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記の課題を踏まえ、養護教諭や特別支援コーディネーター、特別支援学校教員、スクールソーシャルワーカー、専門看護師、保健師等、対象者の人数を増やし多様な職種への面接調査やフォーカスグループインタビューを行い、発達障害のある子どもと家族の就学期の移行を支える看護ケア行動(援助関係の形成、アセスメント、介入の意図、介入方法)を抽出したいと考える。また発達障害のある子どもと家族の体験についてもさらに理解を深めていくようにしたいと考える。 以上の分析結果を統合しながら、これまでの研究結果から導かれた移行期における家族の体験や援助関係の形成方法やアセスメント指標、ケアの姿勢、看護ケア行動の妥当性を検証し、看護ケア行動を特定化し、「発達障害のある子どもと家族の就学期の移行を支える看護ケアモデル」を構築していきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも面接調査の回数が減り、人件費・謝金についての実支出額が少なくなった。またデータの掘り起こしも外部委託しなかったためその出費もなかった。物品費についてもプリンタートナーやデータ保存のためのフラッシュメモリー、文具類等、予定していた消耗品の購入がなかったため予定額よりも少なくなった。 次年度は、消耗品費については、文具類(用紙・封筒・筆記用具等)、データ保存のためのハードディスク、フラッシュメモリー、研究協力者へのお礼(3000円相当の文具)、プリンタートナー、を予定している。 国内旅費については、調査旅費、情報収集(学会参加)ための交通費・宿泊費を予定している。謝金等については、データの掘り起こし[60分のテープの掘り起こし1万5千円程度]を予定している。
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