研究課題/領域番号 |
17K12585
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
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研究分担者 |
小野 順子 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20432742)
山下 清香 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (40382428)
真崎 直子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40548369)
三徳 和子 人間環境大学, 看護学部, 特任教授 (60351954)
檪 直美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (80331883)
岡田 麻里 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (90534800)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域住民 / 主体的介護 / 教育的支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、在宅での医療を受けながら、療養者の望む最期を選択するための教育的支援を検討することである。終末期がん療養者の満足な在宅看取りを行えた配偶者の体験から8つのカテゴリと3つのプロセスを抽出した(2016年)。そのプロセスをもとに、多職種を研究協力者として、半構造化面接(FGI)を行い14項目の支援項目をさらに抽出した(2017年)。14項目を訪問看護師1112名に対し支援ニーズ対する調査を行った結果、2つの因子構造と信頼性を得た。A市地域住民に対し、医療依存度の高い状態になった場合の在宅療養に対する意識調査を行った(2018年)。地域住民168名に対し調査を実施した。調査票は、終末期がん療養者の満足な在宅看取りを行えた配偶者の体験から介護プロセスを可視化し、介護体験は、≪在宅看取りの選択と意思決定≫≪終末期がん療養者の在宅看取りのための主体的介護≫≪看取りの後の成長≫の3つのプロセスであり8つのカテゴリを抽出した。そのカテゴリ内容をもとに介護者が介護力を発揮するための支援を多職種でFGIにより14項目をえた後その内容とした。分析:対象者の性、年齢、家族構成、地域の役割、14項目の結果は記述統計を行った。本研究は本所属の研究倫理委員会で承認を受けた。結果、協力者の平均年齢は男80.7(SD 7.4)歳,女83.0(SD 7.0)歳であった。終の棲家を在宅で迎えるうえで、14項目のうち「とても必要」とした項目は、「訪問看護の必要性を知っておくこと」66.7%と最も多く、次いで「病院や診療所との付き合い方を知っておくこと」であり、「介護保険等サービス導入を考えておくこと」については3番目に多かった。また、14項目のうち地域の伝達力、副介護者、介護力向上、家族特有の介護に関する4項目は家族構成により差がみられた(P<0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、在宅療養への希望をもってもらうための在宅医療の理念は抽象的に理解できているものの、どのような医療やケアがどの程度受けられるか、家族がどの程度介護の負担を担うのか、具体的イメージが持てず、在宅療養移行への可能性をイメージできないままになっている。地域住民が在宅療養において主体的にサービスを選択するための支援方法を検討している。そのために、研究方法として、地域住民に対し「終の棲家座談会」を企画運営している保健医療福祉専門職種によるディスカション(フォーカスグループ・インタビュー)を行った。その内容として、現在地域住民を対象に行っている教育内容、多職種で行う意義、今後変更すべき地域住民への教育内容について、そして、医療依存度が高い状態で在宅療養を選択するための支援(誰がいつ、どのような段階で意思決定支援を行えばよいのか)について検討した。インタビュー結果については現在分析を開始している。分析課程としては、オープンコーディングを行い、共同研究者と共に文脈ことに区分している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に実施した地域住民に対し「終の棲家座談会」を企画運営している保健医療福祉専門職種によるディスカション(フォーカスグループ・インタビュー)の結果をもとに共同研究者と「終末期までの在宅療養意思決定に関する認識」を評価する調査票を作成する。その定義を「地域住民が終末期までの療養の選択肢をもち,本人・家族の意向に沿った療養を実現に対する考え」とし、終末期がん療養者の満足な在宅看取りを行えた配偶者の体験より「満足な在宅看取りを行った配偶者の介護プロセス」8つのカテゴリ-を抽出し、その結果をもとに保健・福祉・医療関連の多職種(在宅医,訪問看護師,病棟看護師,介護支援専門員,ソーシャルワーカー,保健師)半構造化面接(FGI)を行い14項目をえた(item pool)。その結果を訪問看護ステーション448か所に所属する看護師1181名に対し、終末期までの在宅療養意思決定に関する認識として探索的因子分析、妥当性及び信頼性を確認した(item pool精査)ものを今回のインタビュー結果を元に加筆修正する。その調査票を用い、地域住民に対し、終末期までの在宅療養意思決定に関する認識と地域に対する密着度との関連性をみるための調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を遂行するなか、国により「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が発表され、ますます、当事者の意思決定を促すための方法について議論が進められている。在宅療養支援の専門職との議論は進めてきたが、当事者である地域住民との療養生活を決定する対話のあり方については,まだ不十分である.本年度は1回のフォーカスグループインタビューでとどまっている。来年度は園分析を進めると同時に、地域住民に対する調査項目作成の議論を重ね、意思決定支援者が使用するガイドライン作成に向けて研究を継続する予定である。
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