研究課題/領域番号 |
17K12587
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
川崎 涼子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30437826)
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研究分担者 |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 刑事施設収容者 / 触法者への健康支援 |
研究実績の概要 |
前年度の調査から、健康課題の中でも結核に関しては、保健所・地域生活定着支援センター・刑事施設の三者間での支援内容、役割の共有といった連携の構築はほとんどなされていないことが分かった。また、保健所保健師は、刑事施設出所後の生活基盤の情報が不足していると感じていた。この2点の課題を受け、H30年度は下記の対象者へ、29年度と同様のインタビューガイドを用いて半構造化インタビューを実施した。 1.刑事施設に収容されている者への支援経験のある保健所1か所の結核担当保健師4名(H29年度調査の追加調査) 2.健康課題をもつ刑事施設「出所後の」対象者へ支援経験のある救護施設、社会福祉施設、医療機関の連携室、地域包括支援センター、社会福祉協議会など13施設・機関の職員21名(前年度インタビューを行った地域生活定着支援センター職員3名を含む)。 健康課題をもって刑事施設から出所する者は家族との関係が希薄もしくは途切れている場合が多く、治療や通院・入院と同時に生活基盤の再構築にも多くの支援を必要としていることが分かった。特に入院や手術といった際の保証人の不在、死亡した際の身元引受人の不在が支援者の捉える課題としてあがった。また、治療に関するインフォームドコンセントを一緒に理解し判断する相手、内服などの自己管理が必要になった場合のセルフケアを支援する相手がいないといった状況があった。本研究では、こうした対象者を支援している職種は、社会福祉士が最も多く、次いで介護福祉士、精神保健福祉士であった。地域生活定着支援センターが媒介となり刑事施設と地域の福祉系施設・機関および医療機関の連携室をつなぎ、健康課題についての情報を書面で共有していた。しかし、受診同行や入院時の手続きについては、施設・機関ごとに個別ケースとして判断し対応している状況であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
刑事施設収容者、元収容者への健康支援については、個別対応として行われてきたため、支援経験者をスノーボール式に探し実態を明らかにする必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
収容中にかかわる保健所、出所後の生活基盤を支える施設・機関へのインタビューが概ね終わり、今年度は包括的継続支援を阻害する要因、課題を洗い出す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外視察(フィンランド開放刑務所)を予定していたが、次年度以降に変更となり「旅費」の使用額は当初より30万円弱少なかった。しかし、テープ起こしとして業者委託を行ったため、「その他」の支出は予定よりも20万円強多かった。そのため10万円弱の余剰が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は、刑事施設との会議のための経費および論文作成のための資料整理として人件費を使用する予定である。
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