研究課題/領域番号 |
17K12590
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研究機関 | 弘前学院大学 |
研究代表者 |
柳澤 尚代 弘前学院大学, 看護学部, 教授 (10310369)
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研究分担者 |
菅原 京子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (40272851)
吉本 照子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40294988)
清水 洋子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (90288069)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保健師記録 / 思考過程 / 仕組みづくり / 情報共有 / 質保証 / 標準化 |
研究実績の概要 |
1)2017年度は、アクションリサーチによるフィールド調査の前に、記録様式の有効性を評価するための指標を開発するため、保健師による記録の管理、記録の表現、情報開示の意図などについて、質問紙調査用紙をオリジナルで作成した。調査は、2017年10月から2018年2月までの間に、記録研修会の依頼のあった6ケ所の自治体の保健師を対象に実施した。アンケートの配布数は219枚で、回収数は217枚であった。現在収集したデータは、分析中である。 2)2017年10月から2018年4月までの間に、月刊誌である保健師ジャーナルに、時代が求める保健師記録の仕組みづくりを目指し、「地域包括ケアの質を高める保健師記録の仕組みづくり」のテーマで7回の連載にて投稿した。連載の目的は、行政組織の情報共有の考え方を整理し、システム化の取り組みが保健師活動にどのような効果をもたらすかについて、先進的事例を紹介しながら解説することであった。 3)2018年1月に大阪市で開催された「公衆衛生看護学会」にて、記録に関するワークショップを開催し、全国から70名余りの参加があった。本企画は、新しい時代のニーズに即した、保健師記録のシステムの狙いと活用による効果を紹介し、保健サービスの質保証に向けた記録の改善に関する課題をまとめるために開催した。15年間ほどの記録改善の取り組みを通じて、人材育成に成果を上げている相模原市と、市民への保健サービスの効果・効率の向上にむけ、1998年から電子化を検討し、2001年から健康管理システム(長岡京市健康情報ガイド総合システム)を本格的に稼働させている長岡京市の取り組みを解説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)支援記録に対する保健師の把握と構造化 (1)母子保健活動に従事する保健師を対象に、支援記録に関してどのような認識を持っているかについてインタビュー調査を2017年1月~3月に実施した。データ分析は現在継続中であり、進捗状況は「やや遅れている」といえる。(2)2017年10月~2018年2月までの期間に、6自治体において実施された記録研修会の前後にアンケート調査を実施した。回収したアンケートは217枚、連結したアンケートは211枚であり現在分析中である。研修前アンケート内容は、調査対象者の属性、所属組織の記録に関する対応、情報開示の現状、家庭訪問に関する記録作成の現状である。研修後のアンケート内容は、調査対象者の属性、研修内容に関する認識度、記録に関する定義、受講内容に関する理解度、職場の課題および対策等についてである。まず、今年度中の公衆衛生関係の学会にてアンケート結果を分析して発表予定である。データ分析は現在継続中であり、「おおむね順調に進展している」といえる。 2)フィールド調査 東京都台東区および武蔵野市より記録研修会開催への要望が出されたため、研究の趣旨を説明しフィールドとしての協力を得ることになった。両自治体ともに、記録に関する意識調査を実施し、記録研修会を開催し、その後アクションリサーチの研究方法により、記録様式の開発と母子保健活動の支援記録に関する現任教育プログラムの開発と効果を検証する予定である。進捗状況は「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
3.今後の研究の推進方策 1)現在までの進捗状況と理由で述べたとおり、「おおむね順調に進展している」と考えている。しかし、共同研究者はいずれも多忙を極めていることから、一堂に集まる研究会が当初の計画に比べて、十分確保できない状況にある。そのため、看護学会等への参加に付随して研究会を開催するなどの工夫をし、情報交換の確保に努めているとともに、それ以外の手段によっても意見交換及び情報共有に努めている。上記の状況に伴い、予算執行が計画通りに行っていないところがあるものの、今後は研究計画に沿った活動を実施したい。 2)2017年に実施したインタビュー調査は、本年度中に分析を終了し、保健師の認識とその活動の構造化に寄与できるようまとめることを目指す。さらに、研究会は計画的に開催できるよう、学会等の開催にあわせた計画を早期に作成できるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)次年度使用額が生じた理由 現在までの研究全体の進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と考えている。しかし、研究者全員が多忙を極めている現状から、研究会の開催回数が十分に確保できない状況にある。フィールド調査が本格化する2018年度は、研究費の使用額は増額することが予測される。 2)使用計画 2018年度は、学会での発表および自由集会の開催などを予定していること、さらには東京都台東区と武蔵野市におけるフィールド調査が本格化する予定なので、研究費を使用していく予定である。
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