精神障害者支援実績のある訪問看護ステーション看護師による精神障害者の退院直後期間の集中支援内容を明らかにすることを目的に研究を実施した。退院直後期間とは退院時直前の病棟訪問を含め、退院後約6か月以内で、精神障害者の地域生活が安定してきたと訪問看護師が判断した時点までの期間とした。 研究デザインは記述的質的研究とし、精神障害者支援実績のある訪問看護ステーション看護師5名を調査対象者に半構造化面接調査を行った。分析対象事例(以下事例)に対する看護支援についての語りをデータとして収集しデータからコードを抽出し、サブカテゴリ、カテゴリを生成した。本研究は東京慈恵会医科大学倫理委員会審査において承認を得て(承認番号 30-260(9281))、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(文部科学省・厚生労働省平成29年3月8日一部改訂)」を遵守して実施した。 その結果、訪問看護ステーション看護師による精神障害者の退院直後集中支援の内容は、入退院の時間経過における病状と認識、日常生活、生活環境の影響、家族や他者との関係性をアセスメントし、優先する支援方法の見極めと同意、支援チームによる支援体制づくり、主治医の治療方針の把握と現状に即した提案を行うものであった。この結果から 訪問看護師は、支援開始時に先ず入退院における時間経過における病状変化を前提に、悪化の兆候や自己管理能力を見極めており、病状の安定を最優先した支援であると考えられた。次いで、生活環境、家族との関係性、生活の拡がりにおいて本人が持ちうる生活の有り様を尊重する支援を行っており、地域生活開始の時期において重要であったと考えた。さらに支援チームによる支援体制や主治医と協働して治療に関わる支援は、それらを側面から支えるための支援であると考えた。
|