研究課題/領域番号 |
17K12597
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
清水 洋子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (90288069)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子ども虐待予防 / グループ支援 / 個別支援 / 効果 / 保健師 / 母親 |
研究実績の概要 |
自治体保健センターの子ども虐待予防のためのグループ支援事業に参加する母親に研究協力を依頼し、了解が得られた参加者を対象にグループ参加の効果について調査を実施した。内容は、参加の契機、目的、経験有無、効果測定項目:階層分析法を用いた3階層の心理構造、第1階層(母と子の関係、子ども以外との関係、グループ参加の直接的効果)、第2階層(育児困難感、子育て罪悪感、子どもとの関係、夫・両親との関係、共感・受容・孤独感、対処、グループの必要性)、第3階層20項目、母親・子どものフェイススケールを参加初期と参加後(約6ヶ月毎)測定、子育て環境の変化、満足度、の項目から構成した母親の自記式調査票により調査を実施した。 対象の内訳は、継続参加3名、新規参加者8名であった。継続参加者の特徴は、継続参加により「子ども以外との関係」や「対処」に関する改善がみられたが改善内容には個人差があった。また、第2階層「子育て罪悪感」の得点が低い傾向がみられ、第3階層20項目では「自分は孤独である」の得点が継続的に低いことが確認された。 新規参加者の調査によると、概ね「子どもとの関係」の得点が低いことから、母親と子どもとの関係に課題があることを母親自身が認知していることが示唆された。また、半数は「孤独であると思う」の得点が低い傾向がみられた。限られた対象であるが虐待および虐待の恐れがある母親の特徴や事業参加の影響を継続的に捉えることができた。 グループ支援を継続的に実施している自治体保健師にグループと個別支援の併用による包括的な支援を効果的に展開するための方法や課題などについてヒアリングを実施した。さらに、次年度計画予定の保健師を対象としたインタビュー調査の項目選定と調査協力依頼のための会議を開催した。これらの情報をもとに調査計画書を作成し、研究倫理審査の申請準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定どおり研究協力機関・対象(母親)に研究協力を依頼し、了解が得られた参加者を対象にグループ参加の効果を検討するため調査を継続実施した。しかし、年々事業への参加人数が減少しており、協力施設の一部は事業内容を見直すため次年度より調査継続が困難となることが予想される。 次年度は支援者である保健師対象の調査も実施する予定であるため、新たな研究協力機関を開拓し、調査が実施できるよう複数の自治体に連絡し調整を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
自治体の事業内容の変更に伴い研究協力機関の一部において次年度より調査継続が困難となり、新たな自治体に研究協力を依頼するため調整をしている段階である。 自治体保健師を対象とする調査については、既存の協力機関に加えて新たな自治体にも協力を依頼し、グループ支援事業に係わった経験のある保健師にインタビュー調査を実施する予定である。所属機関の研究倫理審査の承認を得た後、研究協力の了承が得られた自治体保健師に調査を依頼し、インタビュー調査の日時や方法について討議し、調査を実施する。調査によりグループおよび個別支援の具体的支援内容や課題等に関する情報を収集し、児童虐待予防のための個別およびグループ支援の併用による効果的な包括的支援モデルの作成と支援により期待される効果について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究協力機関での会議が日程調整等の都合により実施ができず電話およびメール等で調整をすることになった。 また、一部の研究協力機関のグループ支援事業の参加者が減少してデータ収集の機会が予定より減少したこと、国外開催の子ども虐待防止学会等への参加が業務の都合で困難となり、当初予定していた旅費を使用することができなかったなどがあげられる。 使用計画は、複数の自治体保健師を対象にインタビュー調査の実施、解析および成果を国内外の学会で発表するための旅費、研究成果のデータおよび研究に関連する資料の整理・分析のための研究補助者の人件費・謝金、学会参加費、研究遂行に必要な通信・郵送料の使用を予定している。
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