研究課題/領域番号 |
17K12609
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
山崎 友子 岩手大学, 教育学部, 名誉教授 (00322959)
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研究分担者 |
主濱 祐二 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (20547715) [辞退]
Hall James 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80361038)
境野 直樹 岩手大学, 教育学部, 教授 (90187005)
西館 数芽 岩手大学, 理工学部, 教授 (90250638)
熊谷 誠 岩手大学, 地域防災研究センター, 特任助教 (30839733)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 災害文化 / 脆弱性 / レジリエンス / 教材化 / 現地主義 / 復興 / 『災害文化研究』 / 災害学習 |
研究実績の概要 |
台風・津波調査チームは、三陸沿岸を調査し、自然災害に通底する脆弱性を知ることが出来る「災害文化」を地域に育てることの重要性を示した。調査地は、東日本大震災で166名の死者行方不明者を出した宮古市田老地区。2011年大津波の際山火事が発生し、斜面を支えていた杉・桜の上部が焼失。その後土砂崩壊を防いでいた根を9年の歳月は腐らせ、2019年台風による豪雨では斜面崩壊が発生、高台の住宅が被災した。震災時の山火事が次の災害の素因となっていた事例である。田老の町の中心部を流れる荒谷川でも最下流部で氾濫が発生。流域面積168平方キロメートルの荒谷川下流部に再開発された地域の川幅は極端に狭く、溢水する環境にあった。震災後の街作りではこの問題は考慮されていなかったと言える。これらの事例から、自然災害の底流にある脆弱性を知ることが減災に必要であること、その認識の共有である「災害文化」の形成が必要であることが分かった。 人文分野調査チーム・教育実践チームは、三陸沿岸の被災地の学校との合同授業(方言の力)・タイの高校での実験授業(Natural Disaster)を実施。記録をweb上で公開。被災地の学校教育における復興過程でみられる脆弱性についてAAG 2019 in Washington DCにおいて、石碑や災害遺構の3Dデジタルモデルによるアーカイブ手法の紹介・このアーカイブデータとハザードマップの地理情報を組み合わせて作る「災害伝承碑カタログ」・ツーリズムでの活用手法について、AOGS 2019 in Singaporeで発表。国内では、災害文化研究会・被災地釜石・大槌へのスタディツアーを一般にも開放して開催し、その報告と投稿論文を掲載した『災害文化研究』を発行。 被災地の実地調査・被災者の声を直接聞く現地主義と市民にも開かれた研究体制を構築することが「災害文化」形成の鍵となることを提起する。
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