研究課題/領域番号 |
17K12615
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西原 三佳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (70712107)
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研究分担者 |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
中村 安秀 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (60260486)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 母子 / 子育て / ソーシャルサポート / 復興期 |
研究実績の概要 |
本調査の目的は、東日本大震災の復興過程において、被災地での育児ソーシャルサポートの現状を明らかにし、復興過程における子育て支援対策強化への知見を得ることである。 平成29年度には、保健師や地域での子育て支援を行っている支援者へのインタビュー調査を行い、支援者側からとらえる育児の現状などを明らかにした。 平成30年度には、乳幼児を持つ母親9名を対象にフォーカスグループインタビューを行い、特に近隣に親類が全く居ない母親は、育児に関するサポートを得にくく、子育てを一人で抱え込まざるを得ない状況にある事が示された。 これらの結果を踏まえ、平成30年度末から平成31年度初頭にかけ、岩手県沿岸気仙地域(2市1町)に居住する生後6か月から42か月の乳幼児を持つ全958世帯を対象に、郵送式自記式質問票調査を実施し、育児の現状や育児困難感、育児に関するソーシャルサポートとの関連要因を調査した。492世帯から回答があり(回収率51.4%)、育児困難感および育児に関するソーシャルサポートの設問にすべて回答しており、かつ回答者が母親自身である422名を分析対象とした。単変量解析の結果、“近隣知人が少ないこと”が、育児困難感および育児に関するソーシャルサポートの少なさと関連していた。このことから、コミュニティの中で孤立しがちな母親が存在していることが考えられ、そのような母親は育児困難感を抱えやすいこと、また育児に関するソーシャルサポートを得にくいことが考えられた。そのような母親を地域全体で支えていくには、地域住民の関係性強化や子育てしやすいまちづくりへの住民意識の醸成など、コミュニティ全体での取り組みを進めていくことが重要となることが示唆された。
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