研究課題/領域番号 |
17K12620
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
古沢 広祐 國學院大學, 経済学部, 教授 (30219109)
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研究分担者 |
藤田 直子 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20466808)
筒井 裕 帝京大学, 文学部, 准教授 (20742092)
齋藤 平 皇學館大学, 文学部, 教授 (70247758)
滝澤 克彦 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80516691)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 復興 / 伝統文化 / 地域 / 災害 / コミュニティ / ネットワーク |
研究実績の概要 |
國學院大學研究開発推進センター編(斎藤平、藤田直子、筒井裕、滝澤克彦、阿部晃成、古沢広祐、黒崎浩行)「〈研究会記録〉平成29年度共存学公開研究会;復興・伝統文化と地域の自立性」『國學院大學研究開発推進センター研究紀要』第十三号、2019年3月10日。 情報共有・検討会(2019年2/5)での関連参考資料としては、黒﨑浩行(2015)「東日本大震災におけるコミュニティ復興と神社:宮城県気仙沼市の事例から」『國學院雑誌』16(11): 17-29、黒崎浩行(2017)「自然災害からの復興における宗教文化の位相:生業の持続・変化の観点から」『宗教と社会貢献』7(1): 1-17、筒井裕(2018)「東京都三宅島神着における初午祭の継承に関する文化地理学的研究」平岡昭利監修・須山聡・宮内久光・助重雄久編著『離島研究Ⅵ』海青社、143-156などがある。 広報的な情報発信としては、研究代表者の古沢広祐が、ネット公開コラムにて「震災・復興とお祭りの復活―サステナビリティの底流」(第11回、2017.08.29 )に続いて、「「世界で一番面白い街」のつくりかた―石巻2.0の事例など」(第17回、2018.05.08)をSB・Jコラム(サステナビリティ 新潮流に学ぶ)に掲載した。 研究プロジェクトの蓄積を社会に発信・提供する試みとして、古沢広祐が東京都世田谷区・地域の絆連携活性化事業・班長研修会(代沢中町会)にて「自然災害へのミュニティの力」をテーマの講演を行い、「地域の力」診断ツール(CSOネットワーク)を活用したワークショップに協力した(2018年12月16日)。同じく第2回地域の絆連携活性化事業・班長研修会において、共同研究者の茂木栄(國學院大學神道学部)が「日本のコミュニティと社」をテーマに講演を行った(2019年3月9日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、「災害・復興」と「伝統文化」との関係について、「自然環境」と「人」との文化的「共存」関係を学際的に再検討することによって、「伝統文化」に根差し自然と調和した社会構築の在り方を究明することにある。大きくは2本立てで研究を行っている。(1)「地域コミュニティ(特に被災地)の「復興」における伝統文化の意義・役割・可能性に関する研究」、(2)「自然災害と地域史に関する研究」として「自然災害と宗教文化史データベース」。 研究プロジェクト(1)の活動の確認作業として、これまでの研究を振り返りつつ最終年度に向けて「平成30年度の情報共有と今後の取り組み・検討会」を、平成31年2月5日に國學院大學にて開催した。この情報共有・検討会では、宮城県気仙沼市本吉町小泉地区の震災復興と神社祭礼に関する報告(國學院大學、黒﨑浩行)、九州地域(熊本、宮崎)での防災に関する報告(九州大学、藤田直子)、西日本地域での地震津波伝承と歌碑についての報告(皇學館大学、齋藤 平)が行われた。 「自然災害と宗教文化史データベース」(2)に関しては、担当者の体調不良や作業手順の見直しなどで進展は遅れており、最終年度の中で速やかにデータベース作成を完成させる予定である。歴史資料としては、式内社研究会『式内社調査報告』(皇學館大學出版部)、三浦譲『全国神社名鑑』(全国神社名鑑刊行会史学センター、昭和52年)、内務省蔵版『特選神名牒』(思文閣、大正14年)に記載されている自然災害に関わる記述を抽出してデータベース化しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
「自然災害と宗教文化史データベース」作業とフィールド調査との関連については、平成31年2月5日の情報共有・検討会での報告「西日本地域での地震津波伝承と歌碑」(皇學館大学、齊藤平)において高知県沿岸、徳島県沿岸、静岡県伊豆半島西部で現地調査で確認したものと、文献データベース作業でのデータと重なる部分が見いだせないかなどが、今後の課題としてクローズアップされており、引き続きフォローしていく。 今後の研究活動については、作業が遅れている「自然災害と宗教文化史データベース」を充実した内容にしていくこととともに、データベースをどのように活用していくかについての見通しや課題について明確化していく予定である。 災害・復興と伝統文化に関する地域調査に関しては、被災後8年以上を経過する中で地域的な差異が目立ち始めた状況について、岩手県と宮城県での動向をお祭りや催事にあわせて幾つかピックアップして現地調査を行う予定である。 また被災後の三陸復興国立公園の創設を契機につくられた沿岸被災地をつなぐ「みちのく潮風トレイル」が本年6月9日に全線開通することから、拠点地域(トレイルセンター)での自然環境と郷土の歴史と伝統文化のつながりを再発見する動きに注目して、現地調査を行う予定である。 2019年度が本研究プロジェクトの最終年度になることから、研究メンバーの個々の研究活動の成果についての共有化とともに課題抽出をおこない、今後に向けてのさらなる発展研究の可能性に関して検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、「災害・復興」と「伝統文化」との関係について、「自然環境」と「人」との文化的「共存」関係を学際的に再検討することによって、「伝統文化」に根差し自然と調和した社会構築の在り方を究明することにある。大きくは以下の2本立てで研究を行っている。 (1)「地域コミュニティ(特に被災地)の「復興」における伝統文化の意義・役割・可能性に関する研究」は現地調査を主とし、学外の分担協力者の方々に配分して(旅費)概ね支出している。(2)自然災害と地域史に関する研究として「自然災害と宗教文化史データベース」の取り組みが、担当者の体調不良や作業手順の見直しなどの理由で、作業が遅れており、実際上、謝金支払の支出額が先送りされている状況である。最終年度に向けて、データベース作成作業を集中的に行うことで、計画通りの支出を予定したい。
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