研究課題/領域番号 |
17K12621
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
坪内 暁子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10398662)
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研究分担者 |
内藤 俊夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (10365570)
土屋 陽子 順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (90637414)
佐々木 宏之 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (90625097)
佐藤 健 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90290692)
奈良 武司 いわき明星大学, 薬学部, 教授 (40276473)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 都市型災害対策 / 少子高齢化 / 多様化 / IT化 / 地域連携 / リスク分析 / 弱者対応 / 自助・共助 |
研究実績の概要 |
本課題は、東日本大震災や熊本地震の教訓から、少しでも多くの命を助け、また命を維持していくことを前提としている。突然起こった東日本大震災時の避難や避難所運営での問題点や工夫を確認し、その後7年間で構築された仕組み等の難易度の高い都市型災害対策への応用を進めている。 特に、高齢者や身体的弱者のリスクを踏まえて、地域に在住・在勤する医療者OB等の支援体制として、急性期・慢性期対応の医療・保健・福祉支援グループを発足させた。今後は、各リーダー研究対象エリア内在住の医師並びに前民生委員に就任してもらい、今後各組織編成や役割り等を固めて行く。一方、成城避難所防災訓練での演習プログラムの中に応急処置等の内容も加え、他の仕組みとともに試行概要を検討中である。 以下は、本研究期間に研究対象エリアで実施した、研究会議を含み実施した事項である。 1)学校と地域の連携強化にむけての、生徒会を巻き込んだ活動、2)地域への情報配信・共有にむけての、災害対策について「伴に」考える研究会定例会拠点を大学から新宿区に移動しての活動、3)他の私立校との連携・協力体制構築、4)女性の目線で考える区の公式協議会と並行して進めている避難所女子会発足(4月)、5)地域・学校を伴っての被災地視察・研究会議開催(7月)、6)災害時の自助・共助的支援体制強化にむけての、医療支援チームと地域包括ケアチームを発足(10月)、7)住民の防災意識・共助の意識を高める目的での防災ポスター等の募集(11月)、8)研究分担者・協力者を伴っての役所関係者へのヒヤリング・研究会議・震災遺構視察(3月) また、研究結果を踏まえて、新宿区並びに成城学校避難所運営管理協議会に提言し、区の避難所運営マニュアルの修正等災害対策に反映されたり、研究概要や提言はテレビ、ラジオ、ネットニュース等メディアでも取り上げられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究遂行では、研究分担者で構成される、いわゆる研究班に加えて、以下の団体からの支援・協力・連繋体制が存在する。そのことが、通常の研究規模(主に研究費合計と研究班メンバー数)からは考えられないスピードで研究が進んでいる理由となっている; 災害対策について「伴に」考える研究会(産学官民の専門家が集結する勉強会、世話人;坪内) 新宿区指定避難所運営管理協議会 同上避難所女子会 その他の災害対策関連の研究課題(公益財団法人生存科学研究所自主研究事業課題/東北大学災害科学国際研究所共同研究課題/日本安全教育学会特別研究課題、以上、すべて研究代表は坪内)
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今後の研究の推進方策 |
本課題は、東日本大震災や熊本地震の教訓から、少しでも多くの命を助け、また命を維持していくことを目的としている。研究対象である新宿区の指定避難所である私立校は、昨今の先進諸国共通の問題であり、また国内でも特に大都市の「少子・高齢者化」・「グローバル化」・「多様化」・「IT化」といった傾向をすべて持ち合わせる周辺地域と新宿区からの働きかけによって、私立校でありながら平成8年に防災協定を締結し、新宿区指定避難所となった。避難所指定の背景には、地価の高騰等が理由となって少子・高齢化が進む中、隣接する区立小学校が廃校となり、代わりに離れた地域にある他の区立小・中学校避難所が同エリアの避難所として指定されることになったというやむを得ない事情がある。しかし、統計データ的にも、調査結果からも、本避難所受入数を大幅に上回る6~20倍以上の住民等が避難してくる可能性が認められた。同様の傾向が新宿区以外にも都市部では予想される。特に、新宿区は都庁を抱える地方行政や産業の拠点であり、世田谷区・練馬区(都内人口1位・2位)等の住宅地域とは比較にならない複雑な課題を多く抱えるため、パニックや暴動のリスクも懸念されるため、避難・避難所受入れ・避難所生活での混乱を抑える目的で、研究班メンバーに加え、多種多様なバックグランドを有する専門家を交えて行政や地域との連繋で進める。 30年度は、特に、慢性疾患患者・乳幼児・妊産婦・高齢者等身体的弱者や、障害者等社会的擁護弱者に焦点をあて、一次災害で甚大な被害を引き起こすリスク要因に加え、感染症蔓延等による二次災害や、病状の悪化等による関連死のリスク要因となり得る年齢・疾患・障害等に関連する設問の結果を通して、緊急性x重要性を評価基準として対策にプライオリティをつけて、特に、以下のリスク低減にむけた規約をはじめとする仕組みについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会等での発表ができなかったが、本年度は、保健系の学会等で発表等を実施する予定である。
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