研究課題/領域番号 |
17K12624
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松嶋 隆弘 日本大学, 法学部, 教授 (20287569)
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研究分担者 |
金澤 大祐 日本大学, 法務研究科, 助教 (10648504)
高岸 直樹 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 准教授 (10794927)
河合 利修 日本大学, 法学部, 教授 (30387922)
鬼頭 俊泰 日本大学, 商学部, 准教授 (40512075)
三明 翔 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (60635176)
松田 真治 帝京大学, 法学部, 助教 (60759554)
喜多 義人 日本大学, 法学部, 准教授 (80424745)
大久保 拓也 日本大学, 法学部, 教授 (90333103)
高畑 英一郎 日本大学, 法学部, 教授 (60307791)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 災害 / 被害者救済 / 損害賠償 / 保険 / 原子力損害 / 震災 |
研究実績の概要 |
研究の初年度である本年度は、研究者全員により研究会を開催し、問題意識の共有に努めたほか、研究代表者が、本研究の指針となる研究成果を公表することに努めた(松嶋隆弘「原子力災害」伊藤文夫先生古希記念『人身損害賠償法の理論と実際‐法体系と補償・保険の実務‐』(平成30年1月、保険毎日新聞社)所収)。同書は、人身損害賠償法の全体像を俯瞰しようとする目的で編まれた書物であり、研究代表者は、その中で、原子力災害に関する部分を担当している。原子力災害に関しては、その法制の特殊性から、別異に検討がなされることが多かったが、本書中に、本論文が所収されることにより、損害賠償システムの一構成部分であることが、改めて明らかになり、理論上及び実務上、一定のインパクトを与えうるのではないかと考えている。またこれを本研究との関わりでいうならば、同書の刊行により、本研究の出発点が、本研究参加者全員の間で、共有されることになったのであり、そのこと自体、本研究の進展にとって大きな意義があると考えている。 次に各論として、本年度は、大規模震災に対する被害者救済の要となる損害賠償およびそれと対をなす保険システムにつき、序論的考察をなすべく、地震保険を例に取り上げ、地震保険と地震ディリバティヴの関係につき横串を通そうと考えた。これについては、研究分担者である鬼頭俊泰が検討を加え、その成果は、日本保険学会関東部会報告において、公表された(鬼頭俊泰「地震デリバティブ取引と保険制度の相克」日本保険学会関東部会報告)。これらの研究により、まだ序論的段階ではあるものの、賠償、保険、ディリバティヴ取引相互間に関し、横断的検討を行うための下地を構築することができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで本研究参加者は、各参加者の個人研究の他、定期的に集い、研究会を行うことにより、各自の研究成果を共有することに努めてきた。その上、本企画の直接の契機となり、かつ本研究の出発点であると位置づける書籍である伊藤文夫先生古希記念『人身損害賠償法の理論と実際‐法体系と補償・保険の実務‐』(平成30年1月、保険毎日新聞社)が無事刊行され(研究代表者の論文「原子力災害」は、同書570頁以下に所収)、これにより、本研究参加者の議論の土俵がそろうことになった(なお、同書は、法律のひろば71巻5号69頁において、書評がなされている。)。 また、研究分担者鬼頭俊泰は、地震保険と接する地震ディリバティブ取引について、学会報告を行うに至った(鬼頭俊泰「地震デリバティブ取引と保険制度の相克」日本保険学会関東部会報告)。 以上からすると、紆余曲折はあったものの、年度単位でみれば、概ね順調に推移したと評価することができるのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、6月に、沖縄にて、研究会を開催し、各自の研究成果の公表・検討に努めるほか、同地における事故事例(ヘリコプター事故)の実地検証(インタビュー等)を行う予定である。 また、研究分担者鬼頭俊泰が、地震ディリバティブに関する裁判例(仙台高判平成25年9月20日金判1431号39頁)の検討を行い、地震保険や地震賠償との理論的接合につき研究を行うことが予定されているほか、研究分担者金澤大祐が、原子力損害賠償に関する弁護団事件に関し、同弁護団にも携わった立場から、フィールドワーク的検討を行うことになっている。 研究代表者は、それらにつき、党派的立場を離れた、ニュートラルな観点から統括するほか、研究全体を俯瞰するような論文を執筆することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画を予定していた出張等につき、本企画参加者の予定のやりくりが着かず、次年度に持ち越しになったため。
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