・初年度(2017年度)は,原発事業に係る現行の会計制度を確認・整理した。対象となる会計制度は,福島第一原発事故以前から存在する4つの会計制度(原子力発電工事償却準備引当金,原子力発電施設解体引当金,使用済燃料再処理等(準備)引当金,到底放射性廃棄物拠出金)と,福島第一原発事故以降に制度化された3つの会計制度(2013年・2015年における廃炉会計制度・2016年における使用済燃料再処理等積立金制度)である。 ・これに対して第2年度(2018年度)は,原子力発電事業に係る会計制度の変遷について整理した。すなわち,現行の会計制度がいかなる変遷をたどって今日の形となったのかを追跡した。対象となる会計制度は、上述の,福島第一原発事故以前から存在する4つの会計制度である。 ・現行制度に至る前(改正される前)の、電気事業会計規則、原子力発電工事償却準備引当金に関する省令、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立及び管理に関する法律、電気事業法による原子力発電施設解体引当金に関する省令、特定放射性廃棄物の処分に関する法律などの資料に加えて、『原子力年鑑』『原子力白書』その他公刊文書ならびに行政資料を調査した。 ・当該年度で得られた研究成果については、中間報告として、学会発表等2件(22nd REFORM Group Meeting,日本会計研究学会関西部会,原子力市民委員会),論文4点(後述)において公表し、広く意見を求めた。学会発表ならびに論文はいずれも単独での実績であった。なお,22nd REFORM Meetingにおける発表と日本会計研究学会関西部会における発表は,それぞれ2019年度に共著書の1章および雑誌論文として公刊予定である。
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