研究実績の概要 |
・最終年度(2019年度)では,日本の原子力発電に係る会計制度を整理し(2017年度の成果),歴史的変遷をも明らかにしたうえで(2018年度の成果),日本の原子力発電に係る会計制度に関する一定の評価を試みた。現行のあるいはこれまでの原子力発電に係る会計制度が,原子力発電事業に関する情報を適切に外部に公開していたかどうか,もし適切に公開できていなかったとしたらどのような会計的問題があったのか,つまり日本の原子力発電に係る会計制度は社会的観点からみて,あるいは原子力発電が有する重大な国民的影響からみて,適切に形成され実施されてきたのかどうか,についての評価をおこなった。そのうえで,今後,原子力発電事業の社会的受容・原子力発電事業の低減・原発事故による災害の回避などに向けて,いかなる会計制度を設計することが必要か,あるいはどのような論点が整理できるかを明らかにした。 ・当年度で得られた研究成果については,学会発表等4件において公表し,広く意見を求めた。学会発表はいずれも単独で,2件が海外(REFORM Group MeetingおよびOECD Nuclear Energy Agency),1件が国内の学会(環境経済・政策学会2019年大会),および1件が研究会(神戸CSR研究会)であった。その他,ドイツのエネルギー関連本(Haas, Mez & Ajanovic eds., The Technological and Economic Future of Nuclear Power)の1章として論文を掲載した。2020年度に公表予定の原稿が3件ある。うち1件は共著書の担当章において既に提出済みであり,1件は『情報経営学会誌』にて掲載予定であり,最後の1件はOECD Nuclear Energy Agencyの機関誌『Nuclear Technology』にて査読中である。
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