研究課題/領域番号 |
17K12634
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研究機関 | 東北歴史博物館 |
研究代表者 |
小谷 竜介 東北歴史博物館, 学芸部, 副主任研究員 (60754562)
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研究分担者 |
相原 淳一 東北歴史博物館, 学芸部, 上席・主任研究員 (30755434)
古川 一明 東北歴史博物館, 学芸部, 部長 (40754023)
塩田 達也 東北歴史博物館, 学芸部, 副主任研究員 (50754561)
芳賀 文絵 東北歴史博物館, 学芸部, 学芸員・技師 (80754530)
相澤 秀太郎 東北歴史博物館, 学芸部, 学芸員・技師 (90787110)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 災害研究 / 災害展示 / 津波 / 文化財 / 東日本大震災 / 歴史災害 |
研究実績の概要 |
研究初年度となる今年度は、考古学、歴史学、民俗学、建築史学、美術史学の各分野に分かれ、展示対象となる歴史的な災害事象を示す、展示資料候補を抽出するための資料調査を行う計画を立てた。各分野では資料調査に先立ち、全国で開催された災害に関する展覧会図録等の文献調査を館内収蔵の文献で調査を行った上で、実地での調査を実施した。 考古学分野では、津波堆積層の研究を通して、繰り返される大規模津波の痕跡の可視化を検討した。また、津波堆積層として判断するための理化学的な研究の蓄積もはかった。歴史学分野では、国立公文書館等における古文書調査を通して、三陸地域の数十年単位で起こる津波に関する資料の収集をはかった。併せて、古文書以外の歴史資料の所在についても調査を行った。民俗学分野では、三陸沿岸の東日本大震災被災地域における民俗調査を通して、津波碑等津波記念物の展示への応用手法について検討と、今回の津波被害を表象する語りに関する調査を行った。建築史学分野では、昭和三陸津波の際に宮城県内にいくつか建築された津波記念館の建築学的調査を実施し、展示の可能性を検討した。美術史分野では、鯰絵など災害時に発行される刷り物の所在調査を行った。 以上の分野研究を受けて、東日本大震災班、大規模津波班、三陸津波班の今年度の成果のとりまとめと、次年度の計画を立てる計画であったが、資料調査が予定よりも進まず、研究班内での分野を超えた展示研究までは踏み込めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は初年度ということもあり、職場内での文献調査等を優先し、実際の調査先の選定に時間をかけることになった。そのため、研究の実働が遅れることになった。 また、平成30年度予定されていた展覧会が、想定以上の規模となることになり、今年度の末に行うべき研究のとりまとめ、特に展示研究の部分について研究メンバーが十分に時間の確保ができなかったため、年度の総括が十分にはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、次年度に予定する試行展示に向けての展示資料のカード化にめどをつけるとともに、試行展示について展示学的な面についての研究会を積極的に開催する予定である。 そのために、研究班単位での研究会を開催していくものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度ということもあり、館内の文献調査に時間をかけることとなり、旅費を用いた現地調査が予定していたほどに実施できなかった。 さらに、平成30年度春に予定されていた特別展の進行が予想以上に遅れたことから、研究メンバーの過半が予定以上に展覧会に業務が割かれることになったため、調査を十分に行うことができなかった。 平成30年度以降については、そうした予定外の事態は小さいものと考えられ、平成30年度の調査を充実させるとともに、平成31年度に予定する試行展示を充実させることで使用していく計画である。
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