研究課題/領域番号 |
17K12636
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 顕 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (10723562)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アルゴリズム理論 / 組合せ遷移 / グラフ理論 |
研究実績の概要 |
本年度は,本研究の目的2であるハミルトンサイクルの遷移問題に対する固定パラメータアルゴリズムの開発を中心に従事した.中でも大きな成果は,trivially perfectグラフに対して,常に遷移可能であることを示し,さらにその遷移手順も与えることに成功した.trivially perfectグラフは,昨年結果を与えたしきい値グラフを包含するグラフクラスであり,その点で一般化されている.さらにtrivially perfectグラフは,神奈川大学の髙岡旭氏が2018年に研究の対象とした単位区間グラフや二部置換グラフとは直交するグラフクラスであり,新規性もある.今後は,今回与えたハミルトンサイクル遷移問題のアルゴリズムをさらに改良し,trivially perfectグラフをさらに包含するコグラフや区間グラフにおいて動作するように改良したい. また,今年度も積極的に国内外の研究者と交流を行い,色付きトークン整列問題,部分グラフ遷移問題,一般化彩色遷移問題などに対して,様々な結果を得ることが出来た.特に,部分グラフ遷移問題に対しては,解のサイズに対するXPアルゴリズムを与えるなど,パラメータ複雑性の観点からの知見も与えることが出来た.本研究はカナダのウォータールー大学の研究グループとの共同研究であり,成果をまとめた国際共著論文は,国際会議COCOON(計算と組合せに関する国際会議)に受理され,口頭発表を行った. 他にも,ドイツのドルトムント工科大学の研究者と交流することで,マトロイドの遷移問題を提唱し,いくつかの結果を得た.マトロイドとは,計算機科学の分野で古くからよく研究されてきた概念のひとつであり,そのマトロイドを遷移問題のフレームワークからとらえるという,斬新な研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. ハミルトンサイクルの遷移問題に対して,さらに一般化された成果を得ることが出来た. 2. 具体的な固定パラメータアルゴリズムの開発には至らなかったものの,様々な知見を得ることができた. 3. 国内外の研究者との交流を通して,様々な遷移問題に対して結果を得ることができた. 4. 昨年度得られた成果をまとめた論文の一部が国際会議や学術雑誌に採択され,発行された. 以上のことから,本研究計画はおおむね順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
引続き本年度得られた結果は順次論文にまとめていき,国際会議での発表や,学術雑誌への投稿を目指す. 「研究実績の概要」でも述べたが,本年度与えたハミルトンサイクルの遷移問題に対するアルゴリズムを改良し,さらなる一般化を目指す. また,本研究の目標3を達成するために,フィードバック点集合の遷移問題やハミルトンサイクルの遷移問題に限定することなく,様々なグローバルな問題に対して視野を広げ,意欲的に問題の解決を目指していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 20万円での購入を予定していたラップトップパソコンと同性能の物を約14万円で購入するなど,効率的に執行したため,次年度使用額が生じた. (使用計画) 計画に大きな変更は加えず,次年度使用額と合わせて有効に活用していく.
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