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2018 年度 実施状況報告書

動的最適化による大規模マルコフゲームの求解と社会システムデザイン

研究課題

研究課題/領域番号 17K12644
研究機関群馬大学

研究代表者

吉良 知文  群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (50635860)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード動的計画法 / 保育所マッチング / セキュリティゲーム / 物流システム / 展開形ゲーム / 最適化
研究実績の概要

本研究の目的は、大規模なマルコフゲームの均衡点を計算する動的最適化技術を構築し、様々なステークホルダーが含まれる社会的課題に対して、公平で納得度の高い制度や施策を設計する方法論としてのマルコフゲームアプローチを確立することである。平成30年度の主な成果は以下の3点である。
(A)保育所の利用調整では、保育の必要性に基づく子どもの優先順位だけでなく、きょうだいの同一保育所への入所希望も考慮する(Matching with Couples)。公平な選考結果を展開形(マルコフ)ゲームの理論を用いて導出するアプローチ(共同研究の既存成果)が自治体で活用されている。今年度は安定マッチングに関する理論的考察を進め、Serial Dictatorshipメカニズムの(選好の申告に関する)純戦略ナッシュ均衡が導く結果の集合と、真の選好プロファイルの下での安定マッチングの集合は一致することを示した。
(B)群馬大学の教養教育において、1年生1138人のそれぞれを54科目の講義のいずれかに割り当てる抽選作業(マッチング)をおこなった。今野浩氏(東京工業大学名誉教授)による最適クラス編成を応用することで、全員を希望順位の高い講義に割り当てることに成功した。実データに対して既存の様々なマッチング方式を試す過程で、2008年以降の学校選択方式の新展開や確率最適化との関わりについて理解を深めた。
(C)日本パレットレンタル株式会社と共同研究をおこなった。輸送用のパレットは積荷とともに移動するため、パレットの供給先と供給量、回収先と回収量は人々の物流活動に応じて日々変化する。輸送および回収ルートを最適化するソルバーのプロトタイプ開発をおこなった。本取り組みを物流業界のシステムデザインへとつなげていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は限られた時間の中で、社会に貢献する成果を出すことができた。また、新たに、社会実装の実現力を持った企業や自治体との連携を深めることができた。これらは本研究課題の遂行のための貴重な財産である。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

社会的課題に対して、真に実利あるソリューションを生み出す方法論としてのマルコフゲームアプローチを確立するために、当初の計画どおり研究実施期間を通 じて、社会の現場と協働して以下の(1)~(4)のプロセスを一貫して実施する。
(1)社会的課題の問題状況とステークホルダーの意思決定をマルコフゲームとして定式化する。
(2)定式化したマルコフゲームを効率良く解くアルゴリズムを構築し実装する。
(3)マルコフゲームの解を元に、公平で納得感のある制度や施策を設計する。
(4)制度や施策をフィールド実装し効果を検証する。必要があれば (1) へフィードバッグをおこなう。

次年度使用額が生じた理由

今年度は企業からの支援が得られた。また、研究分野の理論を大学業務に活用したことで、学内予算の追加配分も得られたため、経費を削減できた。
(使用計画)国際会議で研究成果発表するための旅費に充当する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] A dynamic programming algorithm for optimizing baseball2019

    • 著者名/発表者名
      A. Kira, K. Inakawa, and T. Fujita
    • 雑誌名

      Journalof the Operations Research Society of Japan

      巻: 62-2 ページ: 64--82

    • DOI

      https://doi.org/10.15807/jorsj.62.64

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 数理技術による公平性の追求2019

    • 著者名/発表者名
      吉良知文
    • 学会等名
      シンポジウム『データとICTを活用したまちづくり』 話題提供プレゼン, 地域とつながる群馬大学 研究者に質問を投げかける日
  • [学会発表] 保育所の利用調整:きょうだい同所希望への配慮と展開形ゲーム2018

    • 著者名/発表者名
      吉良知文
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・ リサーチ学会 SSOR
  • [学会発表] 保育所マッチング:きょうだい同所希望への配慮と公平性の両立2018

    • 著者名/発表者名
      吉良知文
    • 学会等名
      社会情報学シンポジウム2018「社会的☆マッチング」
  • [学会発表] 社会システムの施策や制度設計を最適化する数理技術について2018

    • 著者名/発表者名
      吉良知文
    • 学会等名
      群馬大学次世代モビリティオープンイノベーション協議会 第 5 回要素技術開発研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 輸送問題とその応用2018

    • 著者名/発表者名
      吉良知文
    • 学会等名
      輸送問題とその応用, 日本オペレーションズ・リサーチ学会「確率モデルとその応用」研究部会
  • [備考] 吉良 知文 ホームページ

    • URL

      http://kira.si.gunma-u.ac.jp/~kira/

  • [備考] プレスリリース 2019.02.20:物流ネットワークの効率化・合理化に向けた産学連携開始のお知らせ

    • URL

      http://www.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2019/02/press_20190220.pdf

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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