研究課題
複数の目的変数の特徴を反映したクラスター構造の予測を、ある説明変数群によって行うことを目的とする状況を考える。そのような場合、まずは目的変数だけをデータとしてクラスター分析を適用し、目的変数間に内在するクラスター構造を抽出する。続いて、それを正しいラベルとして、説明変数を用いた予測式の推定を行うことが多い。本研究では、このような従来の逐次的な方法ではなく、目的変数のクラスター構造の抽出と、説明変数によるそのクラスターラベルの予測を同時に行う方法を提案した。提案方法を用いることにより、取り扱っている現象に関連の強いクラスター構造が得られることが期待される。提案方法では、2つの損失関数の凸結合を損失関数としていた。この方法とは別に、部分最小二乗回帰(partial least squares regression: PLS回帰)を、クラスター分析の枠組みに拡張することによって、提案手法と同様の目的を達成できることが研究を進める中で判明していた。そこで、前年度は提案手法とPLS回帰を利用した方法との比較を数値実験によって行い、それらが同等の性能を示すことが明らかとなった。今年度はさらに、これら2つの方法の理論面からの比較を行った結果、元々の提案方法ではクラスター平均ベクトルの推定量が一致性を持つことを示した。さらに、上記の研究におけるモデルの定式化や推定アルゴリズムから派生して、多変量カテゴリカルデータのクラスタリングに対する新たなモデルの開発を進めている。今年度も、提案方法による次元縮小後の空間と、元の確率空間との対応関係に関する理論的考察を進めた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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