研究課題/領域番号 |
17K12663
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
肖 霄 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (30707477)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソフトウェア工学 / 信頼性評価 / ウェーブレット / データ解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,ソフトウェア開発プロジェクト管理における品質保証・評価への支援を念頭に,ソフトウェア信頼性評価指標の区間評価に焦点を当てた多次元ウェーブレット解析によるソフトウェア信頼性評価方法の提案を目的としている.一年度目ではまず,ソフトウェアメトリクス(ソフトウェアの様々な特性を評価する尺度を特徴付けるパラメータ)データの入手および整理に加え,提案方法の比較対象となる既存方法を同定するために,予測信頼度や残存バグ数の区間評価に関する既存研究について情報整理を行った.次に,観測データに正規変換を施すと観測データの確率的構造が大きく変わる点について厳密に考察を行う必要があったため,様々なデータ変換はウェーブレット縮小推定の精度にどのような影響を与えるのかに焦点を当てた.一部の研究結果は査読付き論文として投稿済みであり,初年度末または二年度目の早い段階に採録される見込みである.さらに,ブートストラップ法の関連文献を統計学分野及び応用工学分野から探し,理論面と応用面からウェーブレット縮小推定との融合可能性について検討した.シミュレーション手法を導入することによって開発した新たなソフトウェア信頼性評価方法は予想以上にパフォーマンスが優れたものであったため,早速査読付き論文として投稿した.また,一連の研究の新規性や有用性などが評価され,World Scientific社が出版する図書の一章として収録され,出版済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,研究計画にある「(1)国内外の文献調査」および「(2)ソフトウェアメトリクスデータの整理」は予定どおりに実施された.その過程の中でこれまで触れる機会のなかった研究も複数見つかり,二年度目以降のアルゴリズム構築・検証・再構築のヒントになると考える.次に,「(3)WSE1 に対する区間評価方法の確立」において当初予定していた,三つのブートストラップ法を適用することで予測信頼度の信頼区間を算出することに関しては,うち二つのブートストラップ法は数理的な構造により本研究で開発予定の評価方法に適用する必要性はないことが判明したに加え,一つ目のブートストラップ法は奥深い学術分野であるシミュレーションに深く関係していることが分かった.研究計画当初に予想していなかったシミュレーションに関する調査が必要となったため,関連文献の調査を行い,新たなシミュレーション方法を本研究に導入し,パフォーマンスの良い評価手法を提案することができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にあるとおり,「(4) ウェーブレット区間推定(WaveInt)の完成」,「(5) 多次元ウェーブレット区間推定(MulWaveInt)の提案」,「(6) アルゴリズムの構築」,「(7) アルゴリズムの実装」を順に進めていく.ただ,WSE2への拡張を本格的に展開する前に,シミュレーション方法について更なる調査を行い,それらの妥当性をもう一度検証する必要があると考える.これは本研究の数理的合理性を慎重に検討することが非常に重要だからである.また,特にアルゴリズムの実装に力を注ぎ,より高速なアルゴリズムを目指したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究代表者が妊娠したため,初年度に予定していた国内外における成果発表および研究調査にかかわる旅費が未使用になっている. (使用計画) 初年度にできなかった国内外における成果発表および研究調査を次年度に行うことにより,初年度の未使用額を使用する予定である.
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