昨年度から引き続き、継続・派生開発のための組合せテスト技術であるInteraction-based Test Suite Minimization (ITSM)に関する研究を行った。 今年度まず昨年度までの研究成果を元に、論文執筆を行った。昨年度までに行っていたアルゴリズムの明示化、実験データの整理に加え、ITSMの形式的定義を見直しや全体の洗練を行い、論文を完成させた。執筆中の論文は今後雑誌に投稿予定である。 また、昨年度から引き続きITSMのアルゴリズムの深化を進めた。昨年度の研究で着想を得たBitwise演算によるアルゴリズム高速化手法について詳しい実装調査を進めるうちに、さらにGPGPUを用いたアルゴリズム高速化方法の着想を得た。Bitwise演算を用いた高速化手法では、ITSMアルゴリズムのボトルネックとなる処理を、CPUのビット数である32や64個の変数を並列処理し、高速化を行う。この並列処理のアイデアを基に、GPGPUを適用するとそのコア数である数百から数千の変数を一度に処理することができ、さらに高速化できる可能性があることが調査により判明した。 研究期間全体の主な成果としては、まず継続・派生開発のための組合せテスト技術としてNokia Beell研のSegallらが提唱するITSMが実用的な手法であることに着目した。また、ITSMと集合被覆問題の類似性に着目した「独自アルゴリズム」と「変換アルゴリズム」を考案した。独自アルゴリズムは既存アルゴリズムより3倍程度高速であること、また、変換アルゴリズムの実行可能性を実験により確認した。さらに調査を進め、Bitwise演算やGPGPUなどの並列処理の適用可能性を着想し、ITSMには更なる技術的発展可能性を突き止めた。
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