研究課題/領域番号 |
17K12669
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
李 鶴 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (40759891)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Edge Computing / Disaster Management |
研究実績の概要 |
平成30年度は、サービス持続のためのサービス・マイグレーションメカニズムを設計した。災害の規模によって救出・支援が必要となる期間は異なるため、サービスの持続性を確保することも重要となる。災害直後に生き残ったESでも、不測の事態で故障や電力不足による機能停止が考えられるため、本研究では、サービス機能の一部をESから複数のMDに移行し、代替サーバとして稼働させるサービス・マイグレーションを考案した。しかしながら、MDはESと比較して遥かに資源が乏しいため、移行するサービスもバッテリー消費量も最小限にする必要がある。またMDの移動により、供給されたサービスが途切れてしまう可能性もある。以上の観点から、30年度はサービス・マイグレーションメカニズムを提案し、次の課題を解決した。
ネットワークの機能を維持するため、急なMDの離脱など動的なトポロジーの変更にも対応できるネットワーク構造を提案した。初年度に作成したモビリティ・モデルを利用し、各MDの資源状況を考慮しながら確率論を用いて、代替サーバとして適切なMDを選出するアルゴリズムを設計した。選出されたMDへ移行するデータを動的に割当て、MD間で分散的に管理するメカニズムを考案した。提案するネットワーク構造およびアルゴリズムが完成した後は、シミュレーションによる本格的な性能評価へと移った。シミュレータによる実験を繰り返し、その結果を反映させながら改良した。研究成果の一部は論文としてまとめられ、本研究領域の国際的な学術論文誌にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、サービス機能の一部をESから複数のMDに移行し、代替サーバとして稼働させるサービス・マイグレーションが、当初の予定通りこれらの計画を順調に実行できた。 研究成果の一部は、インパクトファクターの高い学術論文誌であるIEEE Communicationsにおいて、本研究課題の成果の一部が論文として掲載されていることから、進捗状況はおおむね順調しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年は、提案アルゴリズムが実装されたスマートフォンで実験を行い、実用化にもっとも近い形の実機実験で成果を検証する。本研究は研究開発と成果発表を並行して行うものとし、プロジェクトの集大成である最終年度には、往年度の研究成果をまとめ、領域内最難関の学術論文誌への投稿を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度も引き続きシミュレーションによる評価実験および実機実験を行うため、ネットワークシミュレータの保守サービス料(1年間の更新制)、携帯通信料(1台につき100時間利用分)と実験協力者のための謝金を計上する。また、最終年度はある程度まとまった研究成果が期待されることから、国際学術論文誌への論文投稿し、特に広く成果公開できるOpen Access Copyrightの登録料を計上する。
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