研究課題/領域番号 |
17K12671
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小谷 大祐 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (70783059)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インターネット / トポロジ / Autonomous System |
研究実績の概要 |
提案している連携機構では、直接接続していないAS(直接接続されていてもデータの収集の都合で観測されていないものを含む)を含めAS間の関係を推測し、それに基づきASがそれぞれのポリシーに基づき動的に連携することを目指している。この連携のベースとなるAS間の関係の推測に取り組んでいるが、昨年度に提案したヒューリスティックなルールに基づき推測する手法では、AS間の接続を完全に観測することはできないことにより生じる誤差等に頑健ではないという課題があった。 そこで、本年度は、グラフのコミュニティ分析の手法を用いてより頑健に推測する手法を検討した。AS間のトポロジやプロバイダ・カスタマ・ピア等の関係から同等の位置付けにあるASを同一のコミュニティにすることを目的とし、スピングラス法を用いて、ピアのリンクが同一のコミュニティに含まれるASのノードをつなぐもの、あるいはプロバイダ・カスタマのリンクが異なるコミュニティに属するASのノードをつなぐものであれば報酬を、ピアのリンクが異なるコミュニティに属するASのノードをつなぐもの、あるいはプロバイダ・カスタのリンクが同一のコミュニティに属するASのノードをつなぐものであればペナルティを与えるようにした。CAIDAが提供するAS Relationshipsの2019年1月のデータを用いて実験したところ、Tier 1と呼ばれるASに近い位置付けにいるASについてはある程度正確にコミュニティを抽出することができた。一方で、他にトランジットを提供していないような葉となるASのノードはそもそも他のASとの接続が少ないか接続を観測することが難しく、別の手法により観測データを補完する必要があることが分かった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネットワーク間の接続関係に関しては、関係性の分析など検討が進んでいる。一方で、分析結果を用いてAS間で協力関係を築くための仕組みについては、BGPを拡張することを検討しているが、プロトタイプシステムの実装には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ネットワーク間の接続関係の分析を進めるとともに、分析結果を用いてAS間で協力関係を築くための仕組みについて、BGPを拡張して実装できないかプロトコルの設計と実装を進めるとともに、実データを利用した検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗がやや遅れていることから、成果発表に遅れが生じており、それに伴い成果発表の経費として計上していた旅費や学会参加費などが次年度使用額として生じている。次年度に成果発表することを予定しており、その経費として使用する予定である。
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