研究課題/領域番号 |
17K12673
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
神崎 映光 島根大学, 総合理工学研究科, 准教授 (80403038)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 自律移動型センサ端末 / センサネットワーク / 情報収集・伝達 |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模災害発生時を想定し、複数の自律移動型センサ端末を用いて被災地域全体を高頻度で巡回できるよう、各センサ端末の動作を制御する技術の確立を目指している。 初年度である本年度は、被災地域への情報伝達を目的に、近距離無線通信を用いたセンサ端末間の情報共有により、複数のセンサ端末が重複なく被災地域全体を探索できるよう、移動経路を調整する手法を設計した。この手法では、無線通信可能となったセンサ端末間において、それぞれが最近探索した領域に関する情報を共有し、これに基づき、以降に各センサ端末が巡回する経路の再設定を行う。これにより、各センサ端末が、他のセンサ端末が最近探索した領域を再度探索しない移動経路を設定でき、被災地域全体の探索を効率化できる。この手法についてシミュレーション実験による性能評価を行い、センサ端末間の情報共有および移動経路の再設定を導入することで、被災地域内の各地点が探索される頻度が向上することを確認した。また、本研究の成果を活用し、無線センサネットワークにおいて移動しながらデータ収集を行うモバイルシンクの移動経路制御を行う手法等についても考案し、シミュレーション実験によりその有用性を検証した。本年度の成果の一部については、既に複数の国内会議において発表を行っており、また次年度に開催される国内会議および国際会議に投稿済あるいは投稿に向けた準備を進めている。 さらに、当初計画では次年度に実施予定であった手法の拡張についても着手した。具体的には、各センサ端末が動作するための電力に限りがある点を考慮し、充電のために拠点に帰還しながら、被災地域全体の効率的な探索を継続する手法の設計を行い、簡易的なシミュレーション実験による性能評価を行った。この成果についても、次年度に開催される国内会議における発表準備を行っている段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画として実施予定であった課題である「継続的巡回のための協調的な移動制御」について、センサ端末間の情報共有および移動経路制御を行う手法の設計および性能評価がおおむね完了し、その一部については国内会議において既に成果発表を行っている。 また、当初は次年度に実施予定であった研究課題である「拠点への帰還を考慮した移動制御」のうち、センサ端末の残余電力を考慮した手法についても、手法の設計および簡易的な性能評価まで完了しており、成果発表を行う準備を行っている段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の研究計画通り、本年度に実施した評価結果に基づき、継続的巡回のための協調的な移動制御手法の性能改善について検討する予定である。また、センサ端末の残余電力を考慮した手法についても引き続き詳細な性能評価および手法の改善について検討しながら、各センサ端末が取得したセンサデータを効率的に拠点に持ち帰るための手法について詳細な検討および性能評価を行う。いずれの手法についても、国内会議、国際会議、および学術論文誌における成果発表を行う。 さらに、小型のドローンを用いた試作システムの構築にも着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度予算と合わせて、シミュレーション実験を行うための計算機、および試作システム構築のためのドローンや計算機といった機器の購入に使用する。
|