本研究は、大規模災害発生時を想定し、複数の自律移動型センサを用いて被災地域全体を高頻度で巡回できるよう、各センサ端末の動作を制御する技術の確立を目指している。 最終年度である本年度は、昨年度に引き続き、被災地域全体への情報伝達を効率化する手法と、被災地域全体の情報を拠点に収集する手法について研究を推進した。前者の手法では、複数のセンサ端末が重複なく被災地域全体を探索できるよう、無線通信可能となったセンサ端末間において、それぞれが最近探索した領域に関する情報を共有し、これに基づき、以降に各センサ端末が探索する経路の再設定を行う。本年度は、昨年度までに設計した手法に対し、各地点の探索頻度を表す指標、および移動経路選択手順の改良を行い、被災地域全体の探索効率がさらに向上することを確認した。また、本研究の成果を活用し、動画等の連続データをモバイル端末から配信するための通信モデルについても考案した。一方、後者の手法では、前者の手法を基礎とした移動制御を行いながら、各センサ端末が探索中に取得したセンサデータを拠点に持ち帰る。また、無線通信可能となったセンサ端末間において、それぞれが過去の探索で取得したセンサデータの共有も行うことで、各センサ端末が広範囲を対象とした最新のデータを保持できるようにし、このデータの持ち帰りにより、拠点へのデータ収集が効率化できることを確認した。これらの成果については、国内外の会議において発表を行っている。 また、センサ端末として用いることが想定されるドローンを用いた試作システムとして、ドローンを制御可能な基盤であるフライトコントローラー上で、本年度提案した手法において移動制御のために用いる情報を管理する機能を実装し、簡易的な動作検証を行った。
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