前年度に開発した光無線通信システム上のタスクマッピングとタスクスケジューリングを改良し、CPU/メモリ/ストレージ/GPU間の通信帯域、遅延に与える影響を解析・実装・検証した。そして、アルゴリズムの改善や計算能力の増強を検討し、提案された光無線通信システム全体の無駄ゼロ運用の可能性について検証した。 まず、システム管理者の観点からタスクマッピングとタスクスケジューリングを各コンピュータ要素間の通信特性に合わせた最適化を行うように発展させた。その手段として、保有したシミュレータ上でタスクのサイズ順や到着時間順などを考慮に入れ、アルゴリズムの改善やツールの拡張や計算能力の増強などを検討し、開発したBackfill付きスケジューラを導入・評価した。次に、並列分散アプリケーションを実行し、単純な計算機システムや前年度の開発したシステムと比べて,通信時間、通信帯域の改良を各コンピュータ要素間に分類して解析した。現時点では将来の光無線ターミナル付きスパコンが実用化されていないため、遅延の評価にあたっては 、慶應義塾大学松谷研のFPGAスイッチを用いた実機評価環境での実験結果に基づいて相対的な比率を調整するなどの対応を行った。光無線リンクを導入することで、ノード間のルーティング設定により遅延時間や実行時間を最適化した。 提案されたシステム全体を実装してその効果を検証するとともに、前述したスパコンスケジューラのプログラムをオープンソースソフトウェアとして公開した。研究過程で得られた知見をIEICE論文誌などで発表し、研究成果を将来の光無線環境データセンターに向けた参考とした。
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