研究課題/領域番号 |
17K12686
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
王 元元 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (00736217)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビッグデータ分析・活用 / 異種メディア / 時空間情報 / 情報推薦 / コミュニケーション / 情報共有 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ソーシャルネットワークサービス(SNS)とWebの異なるメディアを融合し、それらから時空間情報を抽出しマッピングすることで、双方の欠点を補う信頼性・速報性・網羅性の高い集約情報の抽出・共有支援システムを構築し、相互活用システムの利便性を飛躍的に向上させることを目的としている。
初年度である平成29年度は、[A] SNSデータの時空間統合分析手法の開発と評価に取り組んだ。具体的には、A-1) 対象データ収集のためのデータベースの構築とA-2) 時空間的関連性判定手法の開発と評価を行った。そのために、まず、代表的なSNSデータであるTwitterのツイートデータとFlickrの投稿写真データを対象として、位置情報(ジオタグ)や時間情報(発信時刻)といったメタデータが付与されたツイートストリームデータおよび投稿写真データの収集システムをそれぞれ実装した。次に、収集したツイートデータは時空間データベースに格納し、ツイートデータの空間的かつ時間的な相関性を検証した。最後に、タグクラウドを用いて地図上に異なる時間帯でツイートの発信場所や発信内容の変化を直感的に理解するための可視化システムを開発し、被験者による可視化インタフェースのユーザビリティに関する評価実験を行った。これにより、任意の場所におけるツイートの話題が多様化していても、その場所に関する話題のツイートを発見でき、効率的かつ効果的な情報提供につながる。さらに、最終年度に計画していたリアルタイム双方向通信の実証実験として、企業のウエディングコミュニティサイトでの検証も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、平成29年度の研究実施に関して、おおむね順調に進展している。
本年度は、代表的なSNSであるTwitterとFlickrを対象として、位置情報(ジオタグ)や時間情報(発信時刻)が付与されたツイートデータおよび投稿写真データをそれぞれ収集し、時空間データベースに格納した。また、ツイートデータの空間的かつ時間的な相関性を検証するため、タグクラウドを用いて地図上に異なる時間帯でツイートの発信場所や発信内容の変化を可視化するシステムを開発し、被験者実験を行った。これにより、店舗やフロア、駅などの各小規模施設の特徴的なイベントを発見できた。
開発したSNSデータの時空間統合分析手法は萌芽研究として、Webやソーシャルメディア分野で最高峰の国際会議(HT、IUI)のデモンストレーションに採択された。また、最終年度に計画していたリアルタイム双方向通信の実証実験が国際ジャーナルに論文が採録されるなど、一定の成果をあげており、順調に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、コンテンツ内容の分析を加えて、SNSデータを意味的に解析し、発信位置とコンテンツ内容位置との差異、発生時間とコンテンツ内容時間との差異を分析する。また、位置と時間の関係性を考慮した時空間差異の分析への拡張を実施する。さらに、同じ場所や時間に関連する高信頼性SNSデータ抽出手法ならびに時空間に基づくSNSデータとWebページの関連付け手法を研究開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は研究代表者の出産に伴う休業があったことから、研究成果を多くの国際会議および論文誌等で発表することができなかったため、平成29年度の残高と平成30年度の予算に合わせて使用する。具体的には、国際会議発表のための旅費および論文誌への掲載費として使用する予定である。また、実験用PC購入に物品費として使用する予定である。
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