研究課題/領域番号 |
17K12690
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
今倉 暁 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60610045)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 数値解析 / 高性能計算 / 耐障害技術 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、日本発の超並列固有値解析手法であり、近年活発に研究が進められている複素モーメント型固有値解法に着目し、アルゴリズムレベルでの耐障害性の実現を目的とし、同解法の理論的誤差解析を通し数理的耐障害技術を開発する。また、実用化を目指した利用性向上のため、発生した障害に合わせたパラメータの自動最適化技術についても併せて開発を進める。本研究課題の成果は、次世代スーパーコンピュータ上での長時間シミュレーションの実現に寄与し、幅広い応用分野において、従来困難であったシミュレーションの大規模化・高精度化につながることが期待される。
2019年度は、「複素モーメント型超並列固有値解法の障害発生時の理論誤差解析」および「耐障害技術の開発」を進めるとともに、別の理論背景に基づく耐障害技術として、「高次複素モーメントおよびArnoldi型外部反復を利用した耐障害技術の考案」を行った。本研究課題では、主にアルゴリズムの障害発生時の数理的誤差解析に基づく耐障害技術の開発を進めた。これに対して、別の耐障害技術として、複素モーメント型固有値解法を対象の固有ベクトルに対する(近似)写像であると捉え、Krylov部分空間法の一種であるArnoldi型の外部反復を適用することで、耐障害性を持つ新しい解法の開発を行った。また、複素モーメント型固有値解法の新しい応用先として、部分特異対計算法の開発も進めた。
本研究課題の研究成果を複数の国際会議等で発表するとともに、論文投稿に向けてを準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の主な研究計画は、2018年度までの取組内容を引き続き進めるとともに、別の理論背景に基づく耐障害技術として、「高次複素モーメントおよびArnoldi型外部反復を利用した耐障害技術の考案」であった。
現在までの達成度として、Arnoldi型の外部反復を利用したアルゴリズムを開発し、有効性の検証を行った。現在論文執筆に向けて準備を進めている。年度末にCOVID-19の影響もあり国内外の会議の中止や延期があり、論文についても投稿まで至らなかったものの、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、本プロジェクトの最終年度として、複素モーメント型固有値解法に対するアルゴリズムレベルでの耐障害性の実現を目と機とした数理的耐障害技術の完成を目指す。また、開発する耐障害技術の利用性向上のための技術開発も併せて進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、参加を予定していた国内外の複数の会議が中止および延期されたため。
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