研究課題
H31年度の研究目的は、メッセージングサービスなどにおける次世代方式の設計である。研究実施計画に基づき、①次世代エンドツーエンド暗号化通信方式の設計、②検証実験・安全性証明、に取り組んだ。エンドツーエンド暗号化通信では、非同期環境においてグループ間でセッション鍵を共有する必要があるが、お互いの公開鍵証明書を事前に共有するのは難しいため、証明書無しで鍵共有する方式の設計に取り組んだ。結果として、IDベース暗号基盤に基づく方式、証明書不要暗号基盤に基づく方式をそれぞれ設計した。非同期で通信を行うため送信者はサーバを介して受信者に任意のタイミングでセッション鍵を共有するための情報を送信する必要があるが、サーバにセッション鍵を漏らさずに実現するため、ブラインド鍵カプセルメカニズムを応用して、方式設計を行った。また、代表的なエンドツーエンド暗号化通信方式であるLINE encryptionについて、H29年度とH30年度の成果をまとめ、どのような環境下で安全となり、あるいはリプレイ攻撃やなりすまし攻撃が存在するのかについて、分類し明らかにした。さらに、LINE社が主張している安全性との関係について、表にまとめることにより、明確化を行った。非同期環境でのグループ鍵共有プロトコルについては、国内学会（暗号と情報セキュリティシンポジウム）で発表を行い、公知化した。 また、LINE encryptionについては、国際論文誌（IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems）に掲載され、公知化した。
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IEICE Trans. on Information and Systems
巻: E102.D, No.8 ページ: 1439-1448
10.1587/transinf.2018FOP0001
