研究課題/領域番号 |
17K12696
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
荒井 ひろみ 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (20631782)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | プライバシ保護技術 |
研究実績の概要 |
本研究課題において個人に関する秘匿性の高いデータの取得及び利用におけるデータのプライバシ保護を扱い,匿名化や統計データ化等の加工によりプライバシ保護を行った状況下において元のデータを推定されるリスクの検証を目的としている.特に加工対象のデータの持つ特徴間の相関や,データ内に含まれる特徴と外部データとの相関情報によって推定リスクは高まることが予想され,そのリスクの定量化および分析を行う.令和元年度は,匿名化データおよび機械学習モデルにおけるプライバシに関する研究開発を実施した.匿名化データのプライバシリスクについては移動履歴データを対象に検証をおこなった.攻撃者が攻撃対象の移動履歴の一部を知っていると仮定し,攻撃者による推定攻撃のモデル化を検証した.ノイズ付与,一般化,削除等を用いて匿名化した場合について,再特定リスクおよびデータ有用性とのトレードオフの検証を行った.また,パーソナルデータの収集,加工,分析,利用の情報の流れにおけるプライバシリスクについて,机上調査及びモデルを用いた検証を行った.特に収集方法やデータ加工方法,利用先などに不確定性がある場合,その不確定度合いが元データのプライバシリスクに及ぼす影響の検証を行った.さらに同様の不確定性がある状況でプライバシ保護のための加工を施してデータを開示した場合に,それを別の特徴量を持つデータと突合した場合のプライバシリスクの検証を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はプライバシリスク評価のための攻撃モデルおよびリスクについて,移動履歴を対象に研究を推進した.今後は違ったタイプの相関の特徴を持つデータで引き続き検証実験を行う計画である.
|
今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に沿って,引き続き様々な特徴を持つデータについて,相関などの補助情報がある場合のプライバシリスク評価方法の開発および実データによる評価実験を行い,成果の対外発表を目指す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度については他の研究費によって旅費の支出が可能であったことと,無償の公開データを利用したことで余剰が生じた.次年度はデータ作成や旅費等に研究費を用い研究を推進したい.
|