研究実績の概要 |
本研究の目的は注意の移動に伴って視覚野で変調されるαパワーの強度や持続時間を注意制御ネットワークの一部である前頭眼野の活動を電気刺激によって人為的に操作することである。非侵襲刺激法の問題点は陽極と陰極(1x1)の二つの電極間の全体にわたって電流が流れるため、刺激する標的の皮質領域を高精度に選択することができないことである。 さらに、電気刺激中の脳波計測はその電気的アーチファクトの影響を大きく受ける。そのため、本年度は、まず高精細度電気刺激法を用いて電気刺激中に典型的な脳波が観測できるかを検証した。高精細度刺激法において電流の流れる領域は、標的領域を4つの電極でリング状に囲んだ領域によって制限されるため、局所的に刺激することが可能となる。 電気刺激中の脳波は128チャンネル用脳波キャップを使用して国際10-10法の電極配置で64チャンネルの電極から計測した。 電気刺激電極は右前頭チャンネル(AFF6, FFC4, FFC6, FCC6, FFT8)又は右中心チャンネル(FFC4, FCC2, FCC4,FCC6, CCP4)に配置した。標的領域をチャンネルFFC6又はFCC4とし電流極性を陽極又は陰極に変えて電流をながした。被験者は開眼または閉眼安静状態において直流電気刺激を1mA-2mAで与えられた。閉眼安静時において通常ほぼ全ての健常者でαパワーの増大することが知られている。本研究において最大電流強度2mAの刺激中においてもαパワーの増大が観測できたたことから、電気刺激中に脳波を計測することが可能であると考える。
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