研究課題/領域番号 |
17K12713
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米陀 佳祐 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (80643957)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自動運転 / 画像処理 |
研究実績の概要 |
自動運転の研究において,車載センサ(カメラ,レーザ,レーダ,GPS等)の観測情報から車両周囲の状況をリアルタイムに認識する技術の実現が重要な要素技術である.その中でも状態が時間変化する信号機は交差点走行の安全性の観点から確実な認識が要求される.さらに,一般車両が混在する道路環境を自動運転する際には,現在の信号機の点灯状態に加えて自車が交差点到達時の点灯状態を予測する技術が必要となる.以上より本研究課題では平成29年度・30年度の2年間で,車両の位置情報及びカメラ画像を用いて信号機の点灯色および矢印灯の点灯状態を認識・予測するためのアルゴリズムを実現し,正確な信号機の状態認識及び安全な交差点進入のための状況判断を実現する.また,提案手法を自動運転の実証実験に導入し,要求される認識性能を検証する.平成29年度では以下の内容について研究を行った. ・信号機認識用の評価用データの整備:石川県などを中心に市街地の走行データ記録を継続的に実施し,様々な天候・季節における画像データを収集した.また,収集したデータに対して評価用データのタグ付けの環境整備を行い,データ整備を開始した. ・信号灯及び矢印灯認識のアルゴリズム構築:地図情報及び過去の認識結果に基づいて信号機位置の存在確率を個別に算出する認識アルゴリズムを開発している.これによって,デジタル地図と関連付けながら対応する信号機を認識可能となる.さらに,他の信号機や点灯物が信号機付近に存在するようなシーンにおいても個別の確率を算出することで目的の信号機を適切に認識可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・信号機認識用の評価用データの整備:継続的な記録した大容量の走行データを管理可能な環境を整備したため.また,データのタグ付け用ソフトウェア開発など今後の研究を効率的に実施可能な環境整備が完了したため. ・信号灯及び矢印灯認識のアルゴリズム構築:開発した認識アルゴリズムの評価・検討結果に関して,国内学会(自動車技術会 2017年秋季大会)で1件,国際学会(1st International Conference on Digital Practice for Science, Technology, Education and Management)で1件の成果発表を行ったため.
・その他 開発した認識アルゴリズムを自動運転自動車に実装し,自動運転走行を行いながら認識距離の妥当性や処理の応答性などを検証している.これによって,一般車両が走行する市街地走行において円滑な交差点走行が可能な点を確認しているため.また,現状における認識が困難となる状況の課題点が明確化してきたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,研究計画に従って概ね順調に研究を実施したため,次年度も実施計画書に記載の研究計画に従って検討をすすめる.本年度の自動運転走行中の検討において,矢印灯の認識距離に課題があることを確認しているため,当初の予定からの追加事項として事前に準備済みの高解像度カメラを利用した認識性能への効果及び処理速度への影響などを検証する. また,開発した認識アルゴリズムは,その都度自動運転自動車に導入して認識性能の妥当性を検証する.研究成果は積極的に論文発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では,高感度カメラを購入する予定で予算をしていたが,本年度の実験では以前から保有している通常のカメラで性能を評価していたため予算が抑えられている.次年度において高解像度のカメラを整備するために使用する予定である.また,信号機の予測アルゴリズムを開発するにあたりより高性能な計算機が必要となるため,それらの購入を予定している.
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