研究課題/領域番号 |
17K12727
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石塚 裕己 香川大学, 工学部, 助教 (40784418)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 触覚 / 静電触覚ディスプレイ / 有限要素法解析 / 神経モデリング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は静電触覚ディスプレイを高密度化し,その駆動条件を有限要素法解析によって明らかにすることである.2017年度は多電極型の静電触覚ディスプレイを試作し,その特性評価を行った.その結果1 mm幅の電極でも静電刺激を与えることが可能であることが確認できた.更には電極毎に異なる電圧波形を入力した場合には,単一の電圧波形を入力した場合とは異なる感覚が提示されることも確認された.今まで行われてこなった静電触覚ディスプレイの多電極化によって触感提示の表現力を向上できることを確認できた.この静電触覚ディスプレイの多電極化に関する研究成果でTransactions of The Japan Institute of Electronics Packagingに投稿論文として掲載された.静電触覚ディスプレイの作製と並行して,静電触覚ディスプレイのシミュレーションを行った.まずは従来の研究で得られた指の寸法や物性値を参考に,指断面のCADモデルを作成した.そして,それを有限要素法解析のソフトウェアであるMarcに取り込んで,解析が可能な環境を構築した.Marcに用意されている基本的なコマンドでは静電触覚ディスプレイの挙動を再現できないことから,新たにコマンドを作成した.実際に解析を行ったところ,静電触覚ディスプレイの挙動が再現できていることが確認できた.その後,指断面モデルの解析を行った際に得られる解析データから,触知覚において重要な役割を果たすと言われている触覚受容器の挙動を再現可能な数理モデルの構築を行った.数理モデリングは今まで殆ど行われてこなかったため,実現できれば触知覚のメカニズム解明において有用性の高いツールを実現できると確信している.この解析に係わる研究成果でIEEE Haptics Symposium 2018とEurohaptics 2018で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展しており,今年度中に目標であった静電触覚ディスプレイの高密度化の検討を行い,触覚ディスプレイの駆動条件最適化のためのシミュレーターの構築まで行えた.今後はなるべく早めにシミュレーターを調整して,静電触覚ディスプレイと合わせて実験できるよに準備を進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
今後は更なる静電触覚ディスプレイの高解像度化を行う予定である.現在までに数十um幅の静電触覚ディスプレイ用の電極アレイを試作しており,今後評価を行う予定である.また,シミュレーションについては数理モデルのパラメーターの最適化に関する手法を導入して,早急にシミュレーターを完成させる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に作製したデバイスや購入した資材で研究を行ったことと,電源装置に関してで他大学から小型の高電圧電源を借り受けたため,物品費が想定よりも少なくなった.繰り越しの費用については,次年度にシステム構築やアプリケーション開発のために使用するための費用とすることにする.
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