最終年度として,シミュレーションによって静電触覚ディスプレイがリアルな触感を提示することができるのかを評価した.シミュレーションでは凹凸のある面を指でなぞった場合と,なぞる際に摩擦力を変調して静電刺激を再現した場合の2種類のシミュレーションの条件を作成した.その場合の,指断面内部のミーゼス応力の変動を評価することによって,実際の凹凸のある面をなぞった場合と,静電触覚ディスプレイをなぞった場合とでどのような違いが触覚受容器の位置で生じているかを確認した.シミュレーションを行った結果,摩擦を変化させた場合でも実際の凹凸のある面をなぞった場合でも,同様にミーゼス応力の変動が生じていることが確認された.一方で,変動に違いがあり,メルケル触盤の位置では凹凸形状によって皮膚が圧縮されない状態があるためミーゼス応力が非常に小さい値が生じる場合があるものの,静電触覚ディスプレイではそのような事象は生じていないことが確認された.この現象は凹凸形状が小さくなるほど影響が少なると考えられ,静電触覚ディスプレイは凹凸形状が小さい表面の触感の再現に適しているのではないかと考えられる.
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