本年度は,健常者歩行時加速度データから道路・通路のバリアフリー度を算出する処理において,(1)入力部分における計測方法の改善・拡張,(2)分析部分における機械学習精度向上,(3)出力部分における情報提示方法の改善・拡張を実施した。 (1)については,加速度データ計測アプリケーションの改良を行い,安定的かつ高精度に記録を行えるようにした。さらに,ユーザの計測モチベーションを向上させるためにゲーミフィケーションの概念を導入し,位置情報連動型ゲームをプレイする過程で加速度データが計測できるアプリケーションを開発し,教師なしデータの収集に関する効果測定を行った。 (2)については,加速度データから特徴量を抽出するために行うディープラーニングにおいて,ネットワーク形状の最適化と一部のハイパーパラメータの最適化を行うことで,バリア推定精度を10%程度向上させた。 (3)については,道路のバリアフリー度を可視化する方法の比較・検討を行い,従来のような情報を点として表現するバリアフリーマップでは情報過多になり視認性が低減することを明らかにした。さらに,バリアフリーマップ以外にも,拡張現実感技術を用いてバリア通過時の様子を再現する車椅子シミュレータのプロトタイプ制作にも着手した。 上記以外にも,提案手法によるバリアフリーマップを利用するための視覚障害者向け入力インタフェースの機能改善・効果測定を行った。 これらの成果の論文投稿・学会発表を行い,情報処理学会論文賞受賞,査読付き論文誌採録,査読付き国際・国内会議発表等に至った。
|