和服は日本の伝統的な衣服であるが,日常的に和服を着ている人は少ない.着てみたい気持ちはあるが,着方がわからず着られないという人や,一度は着られるようになったものの,ずっと着ていないため忘れてしまうといった人がいる.そこで,本提案では初心者の着付けを情報技術を用いて支援するシステムを検討・構築してきた. 令和2年度は、半幅帯の結びに着目した支援システムを構築した.半幅帯とは,女性のカジュアルな着物および浴衣に合わせて用いる帯であり,多様な帯結びが存在する.本研究では半幅帯に注目し,半幅帯の帯結びを1 本のつながったものではなく,パーツの集合体として扱うというアイデアをもとに,3つの提案を行った.第一に,帯結びをデータ化して扱うシステムとして,パーツの組み合わせによって帯結びの形状データを作成する帯結びエディタを提案した.第二に,実世界において,パーツの組み合わせによってさまざま な帯結びに変えられる帯,「組み替え帯」を提案した.第三に,第一の提案である帯結びエディタによって作成したデータから第二の提案である組み替え帯を組み立てるための支援として,帯結びの形状データをもとに実際に組み換え帯で作成する際の,エディタパーツと組み替え帯パーツの対応とパーツのたたみ方などを示すソフトウェアを実装し,構造図の計算手法を提案した.また,これらの提案に対してユーザインタビュー調査を行った.以上を国内学会発表、ワークショップでの発表を経て、関連研究者たちと議論した上で、国内論文誌へ投稿した.また特許出願中である.
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