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2020 年度 実施状況報告書

乗算出力と多入力型ΔΣ変調を用いた超多チャンネル駆動法による音波面の再生

研究課題

研究課題/領域番号 17K12732
研究機関静岡理工科大学

研究代表者

武岡 成人  静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (30514468)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード多入力型ΔΣ変調器 / MIDS / スピーカアレイ / 波面合成法 / 音場再現
研究実績の概要

本研究は乗算出力トランスデューサと,自らが提案している多入力型ΔΣ変調器(MIDS)を併用した新しい多チャンネル駆動法を実現しようというものである。2020年度は前年度までの成果に加えて主に理論面での検討を加えた。
一方でコロナ禍の影響により,提案法を用いた空間の標本化定理を満たすスピーカアレイ実験装置の作成・設置について準備も含めほとんど行うことができなかった。そこで当初本年度に実施予定であった評価実験およびプロジェクトのまとめについて,次年度に延期せざるを得ず,事業期間を延長することとした。
・MIDS変調器の量子化特性に関する検討:これまで,提案手法(MIDS変調器)の特徴である多入力量子化器の取り扱いについて,入出力間でのエネルギー比に着目することで実効的に利得をもたせ検討を進めてきた。しかしながらこれらの近似はある程度の一致をみるものの駆動点数が多い際にシミュレーション結果と乖離があることが問題となっていた。本年度はこれらの近似について精査を加えた結果,量子化時に生じる雑音分布幅に補正を加えることで理論値とシミュレーション結果が概ね一致することが明らかとなった。これにより入出力間のエネルギー比が極端ではないという条件付きではあるが通常のΔΣ変調器との簡潔な比較を行うことができるようになった。
・提案法を用いた簡易アレイによる測定実験:本研究で提案する高密度なスピーカアレイを用いた波面合成に向けた予備実験として素子間隔4cm,64chのスピーカアレイを試作し提案する駆動法で再生実験を行った。前年度に作成した2次元の収録システムを用いて波面観察を行うことで概ね理論通りの生成波面を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本課題の目的はMIDS法という新しい符号化手法を用いることで,配線は共通でありながらも多数のスピーカを駆動するシステムを提案し,これまで不可能とされてきた空間の標本化定理を満たすような,音場の厳密再生に向けたスピーカ駆動法を確立することである。
これまでの検討において,提案するMIDS法の理論整備を行い,基礎的な実験により有効性を確認してきた。しかしながらコロナ禍の影響により当初本年度に行う予定であった評価実験を行うことができず,プロジェクトの評価・まとめについて次年度への延長をすることとなった。

今後の研究の推進方策

本研究の目的は駆動線が共通でありながら各点を独立に制御する新しいアレイ駆動法を用いて,空間の標本化定理を満たすシームレスな音場再生を実現することにある。
最終年度である2021年度は提案法を用いた波面生成実験を行い,波面を密に測定することで提案手法に対して主に物理面から評価する。具体的には試作スピーカを用いて生成した波面を1cm刻み程度で測定し再現精度を確認するとともに,論文として報告していく。また,本法で課題となっている乗算結果に比例した出力を行うトランスデューサの実現方法に関する試みとして,熱音響変換など原理的に乗算を実現する変換器についても検討する。

次年度使用額が生じた理由

前年度に残額が生じた理由はコロナ禍により実験を中心とした環境の不備により研究計画に停滞が生じたことによるものである。
また,本年度の使用計画としては,主として試作するスピーカアレイ,マイクアレイの製作費として使用し,また成果報告としての論文投稿費,学会発表旅費にあてる予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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