本研究では、医療現場での痛み感覚の客観的評価手法の提案と言語化された痛み感覚の表現を客観化(数値化)するための指標を構築することを目指している。これに向けて、振動刺激や温度刺激といった複数の物理刺激を組み合わせて触覚を生成し、対象者へ刺激を呈示することで痛み感覚を惹起させることができる触覚刺激呈示装置を開発し、その有効性を明らかにすることを目的とする。当該年度は、医療従事者を対象としたインタビュー調査(社会情勢を考慮しウェブ会議方式とした)を実施し、医療現場での痛み感覚の表現(擬音語を含む)のパターン、また患者と医療従事者との臨床下での痛み感覚の言語的表現のバリエーションに関しての調査を実施した。インタビュー調査では医療従事者を対象とし、臨床現場で実施している痛みのアセスメント、外来・病棟等で活用されている痛み感覚の評価方法などについて意見交換を交えながらの自由回答方式で実施した。本研究では、医療従事者の熟練度に着目し、経験年次に幅を持たせたリクルートを行った。調査結果から、臨床現場で頻出している痛み感覚の言語表現や擬音語表現、その活用場面についての分類を進めた。そして、本研究からの今後の展開について、医療従事者らと意見交換を進めた。
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