研究課題/領域番号 |
17K12741
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
三輪 誠 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00529646)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬物間相互作用 / DrugBank / 関係抽出 / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
研究の目的である,文献からの薬物関係 (薬物間相互作用) 抽出への薬物データベースの有効利用のために,薬物データベースDrugBank上に記載されている薬物間の関係情報を表現する方法について研究を行った. 当初の計画においては,用語のみを利用してその関係を表現することを考えていたが,薬物によっては関係情報が記載されておらず,表現を獲得できないことがわかったため,薬物の付加情報も同時に利用する必要があることが分かっている. このため2018年度は,2017年度に続いて,用語以外の薬物の付加情報の一つである化学式に焦点を当て,化学構造のグラフ表現を用いて薬物の表現を獲得する手法について研究を行い,その薬物関係抽出への有効性を示した. また,同時に化学式以外の付加情報の利用に関して検討を進め,DrugBank上に記述されている薬物間の関係情報をより有効に利用する方法について研究を行った.具体的には,薬物に関する記述を利用することを検討した.方法としては,DrugBankデータベースの薬物についての説明文を畳み込みニューラルネットワークを用いて,説明文のベクトル表現を獲得し,そのベクトル表現を用いて,2つの薬物が相互作用を持つか,否かという分類を行うことにより,関係情報が記載されていない薬物に関しても,その記述文からその薬物の表現を獲得し,その薬物と他の薬物の関係をデータベース上で表現することが出来る基盤を確立した. この化学式,説明文いずれを用いた手法においても,その表現が上記の関係情報抽出システムを改善できることを示し,当初計画の目標であった70%の精度を達成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データベース上での薬物の関係表現について,化学式・説明文を用いた情報が利用できることがわかり,実際に利用することで当初の計画の最終的な数値目標であった関係抽出器の精度70%を超えることができており,当初の計画以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在のシステムをもとにさらなる薬物情報利用の検討・精度向上を行っていく予定である. データベース上の薬物の関係情報のみでなく,薬物に付属する付加情報の利用が可能であることがわかったため,データベース上の関係のみに限定せずに,データベース上の様々な情報を組み合わせて有効に利用する方法について検討を進め,データベース上の薬物の表現・薬物関係の表現を推し進めていく予定である.また,薬物間の関係の評価について,これまでのデータベースに記載されている関係の一部を隠して利用する方法には問題があることがわかっている.具体的には,薬物の関係が記載されていない場合に,実際に関係がない場合と関係がまだ実験されておらずわかっていない場合の2通りがある.この点についても可能であれば検討を行う予定である. 関係情報抽出手法への適用についても,データベースで得られる関係情報をどのように入れるのかの検討を進める予定である.特に,データベース上に記載されている薬物と文書上に記載されている薬物をどうマッチングさせるか,について検討を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の購入予定を立てていたが,他の設備を利用することができたため,その購入を次年度に延期した.
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