最適化問題の特徴ごとに適したアルゴリズムを視覚化する最適なアルゴリズムマップを構築することで,既存の最適化問題に関する知識を組織化し,それをもとに,未知の最適化問題に適したアルゴリズムを推薦する方法の構築を目指し,昨年度までは,最適化問題群を2次元空間にマッピングすることで最適化問題ごとの関係性を視覚的に表現し,未知の最適化問題の位置を推定する方法を構築してきた.本年度は,多数の最適化アルゴリズム群を2次元空間にマッピングすることで最適化アルゴリズムごとの関係性を視覚的に表現する方法を構築した.具体的な方法としては,多数の最適化問題と多数の最適化アルゴリズムを用意し,各最適化問題を用意したすべてのアルゴリズムで最適化し,その最適化性能を記録する.各最適化問題において,最適化性能が良い順番にアルゴリズムをランキングする.各アルゴリズムは,それぞれの最適化問題における性能ランクから,高い性能ランクを獲得できる順番に最適化問題を並べる.その順番の差異によって,最適化アルゴリズム間の類似性を表す.2次元空間に,最適化アルゴリズム間の類似性を可能な限り維持した最適化アルゴリズムマップを構築した.本研究では,多目的・多数目的最適化のための進化計算アルゴリズムのマッピングに焦点を当て,29種類のアルゴリズムをマッピングした.あらかじめ,29種類のアルゴリズムの処理手順の構成要素を分析し,4種類のアルゴリズム群に分類した.提案法によるアルゴリズムマッピングの結果,類似する処理手順を含むアルゴリズムが2次元空間において近くに分布することなどを確認した.また,アルゴリズム群をマッピングする際に使用する最適化問題群について,設定を目的数が異なる3種類に変えてアルゴリズム群をマッピングする実験をした.その結果,最適化する目的数の違いによって,アルゴリズム群の関係性が変化することなどがわかった.
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