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2017 年度 実施状況報告書

確率モデルに基づく時系列予測ニューラルネットワークの提案と生体信号予測への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K12752
研究機関九州大学

研究代表者

早志 英朗  九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (00790015)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード生体信号 / 時系列信号 / ニューラルネットワーク / 確率モデル / 予測
研究実績の概要

本研究は,現在までの信号から将来の信号値および信号源の状態を予測・識別する時系列予測ニューラルネットワークの開発を目的とする.そして,提案ネットワークを生体信号予測・容態推定へ応用することで,予測に基づく医療モニタリングへの足掛かりとする.提案ネットワークには,特に生体信号に現れる複雑な非線形性や非定常性,個人差に対応するための工夫として,(1) 確率モデルに基づく設計,(2) 事後確率に基づく予測と識別,(3) Sparse Bayesian learning, (4) 大規模データを用いた学習を取り入れる.平成29年度は,(1), (2), (4)に関連して,特に識別側に注力し研究を遂行した.
(1)および(2) 確率モデルに基づくニューラルネットワークの提案:指数分布族の確率分布に基づく確率モデルとニューラルネットワークへ展開するフレームワークを提案した(Hayashi, MPR 2017).そのフレームワークに基づき,マルコフ性を持つ時系列信号の識別に適したニューラルネットワーク(Hayashi and Tsuji, MIRU2017)や歪んだ分布に従うデータを識別できるニューラルネットワーク(早志ら,PRMU2017)を提案し,生体信号識別へ応用した.
(4) Generative adversarial networks (GANs)に基づくdata augmentation:生体信号生成に適したGANsを提案し,data augmentationに応用した.GANsは人工データを生成するニューラルネットワークと,実データと生成データを識別するニューラルネットワークを用い,これらを敵対的に学習させることで質の高い人工データを生成する技術である.本研究では,各ネットワーク構造を再帰型にすることで生体信号特有の時系列性や周期性の再現を可能とした.さらに,提案法により生成した人工データを心電図や脳波識別のための学習データに追加することで識別精度が向上することを示した(Harada, Hayashi, and Uchida, EMBC2018).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画において平成29年度は,確率モデルに基づくニューラルネットワークの提案と,それに基づく生体信号識別,および予測を行う予定であった.ただし,以下の理由により取り組む順序が入れ替わるなどしたため進捗状況は上記の区分とした.
■確率モデルに基づくニューラルネットワーク提案と,その生体信号識別への有効性を示すことができた
■研究開始後に急速に発展したgenerative adversarial networksの技術を用いて質の高い人工データの生成が可能になったため,次年度以降に予定していた大規模データを用いた学習に先に取り組んだ
■上記の理由により,予測のためのニューラルネットワークの開発は次年度に取り組むこととした

今後の研究の推進方策

平成30年度は(a) 確率モデルに基づく時系列予測ニューラルネットワークの開発,および(b) Sparse Bayesian leaning の導入による汎化性の向上に取り組む.
(a) 研究代表者が提案してきた確率モデルベースド・ニューラルネットワークの考え方に基づき,生体信号の時系列変化パターンや分布特性を考慮した確率モデルを組み込む.これにより,生体信号特有の複雑な非線形性を組み込み,汎化性を向上させる.このとき,単に将来の信号の予測値を算出するのではなく,様々な変化のパターンと各変化の尤もらしさを考慮して変化予測の事後分布を算出する.これを識別部において信号値と危険度の関係と畳み込むことによって,最終的に算出される容態危険度確率に各変化パターンの可能性が残るようにする.これにより,生体信号特有の非定常性や急激な変化を考慮した予測を行なう.
(b) Sparse Bayesian learningはモデルの各重みパラメータに事前分布を設定し,重みパラメータの学習と同時に事前分布の超パラメータをデータから最適化することによって重みをスパース化し,モデルの複雑度を自動的に決定する手法である.これにより汎化性の向上とパラメータ数の自動決定を目指す.

次年度使用額が生じた理由

当初購入予定であった計算機を所属研究室所有のもので代用できたため.次年度は,これを学会参加費(EMBC ’18等)や大型計算機購入費の一部として使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Biosignal Data Augmentation Based on Generative Adversarial Networks2018

    • 著者名/発表者名
      Shota Harada, Hideaki Hayashi, Seiichi Uchida
    • 学会等名
      The 40th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC'18)
    • 国際学会
  • [学会発表] A Probabilistic Model-based Neural Network2017

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Hayashi
    • 学会等名
      The 13th Joint Workshop on Machine Perception and Robotics (MPR 2017)
    • 国際学会
  • [学会発表] Generative Adversarial Networksに基づく生体信号生成2017

    • 著者名/発表者名
      原田翔太,早志英朗,内田誠一
    • 学会等名
      電気・情報関係学会九州支部連合大会
  • [学会発表] Johnson分布に基づくニューラルネットワーク2017

    • 著者名/発表者名
      早志英朗,内田誠一,辻敏夫
    • 学会等名
      パターン認識・メディア理解研究会
  • [学会発表] A Time-series Discriminant Component Network2017

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Hayashi and Toshio Tsuji
    • 学会等名
      第20回画像の認識・理解シンポジウム (MIRU2017)

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公開日: 2018-12-17  

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