研究実績の概要 |
本研究は,現在までの信号から将来の信号値および信号源の状態を予測・識別する時系列予測ニューラルネットワーク(NN)の開発を目的とする.そして,提案NNを生体信号予測・容態推定へ応用することで,予測に基づく医療モニタリングへの足掛かりとする.提案NNには,複雑な非線形性や個人差に対応するための工夫として,(1) 確率モデルに基づく設計,(2) 事後確率に基づく予測と識別,(3) Sparse Bayesian learning, (4) 大規模データを用いた学習を取り入れる.最終年度は,(1)から(4)全てに関連して研究を遂行し,特に(3)に関して大きな進展があった. (1), (2) 確率モデルに基づくNNを構築し,時系列予測に応用した(Yamagata, Hayashi, Uchida, ICFHR2020等).入力時系列に対し,数時刻先の予測値を混合正規分布に基づきモデル化する.そして,予測分布のパラメータを出力するようにNNを学習させることにより,複数の可能性を考慮した予測波形を出力可能なモデルを提案した.また,識別と生成のハイブリッドモデルを提案し,協調的に学習させることで半教師有り学習に適用するとともにConfidence calibrationへ応用できることを示した(早志・内田,MIRU2020). (3), (4) 混合正規分布に基づくNNとSparse Bayesian learningを組み合わせることにより,多峰性とスパース性を兼ね備えた識別器を提案した.また,提案モデルを深層NNを組み合わせることにより,大規模データの識別に応用した.本研究成果は,機械学習のトップ会議であるICLRへ採択された(Hayashi and Uchida, ICLR2021).
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