当該の研究課題では,災害対応ロボティクス領域におけるソフトロボットに関する身体を進化学習アルゴリズムなどを組み合わせて情報科学的な設計手法を確立することが目的である.最終年度では,進化ソフトロボティクスの枠組みの中で,ハイドロゲルやシリコンゴムを身体の構成材料に採用し,3Dプリントを駆使することで異種材料のソフトロボットの身体設計を実現した.当該年度では,災害対応ロボティクス領域において設計したソフトロボットから得られる学術的知見を検証するために1)やわらかな身体性がロボット操縦者に与える効果,2)変形に含まれる力学的情報の観点から評価を実施した.前者では,災害対応ロボットのエンドエフェクタにシリコンゴム製のカバーを装着し,遠隔操縦における災害対応タスク(把持動作の適切な制御)に対する有効性を評価した.本成果として,ロボットの身体の一部を柔軟化することで、人とロボットの身体性の違和間が抑制され,ハンドリングに有効な効果をもたらすことが明らかとなった.次に、圧電素子を持つソフトロボットを用いて,接触者による変形に含まれる情報をセンシングし,柔軟材料ごとに介在する信号データの差異について検証した.その成果として,シリコンゴムは金属材料やPLA樹脂のような硬い材料では微弱でノイズを多分に含むデータをシリコンゴムに変換することで挙動ごとに特有の周波数特性で表現することを可能とし,機械学習の分類アルゴリズムを用いることで,接触挙動と接触物の高精度判定を実現できることを明らかにした.
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